今回の記事のテーマは、学童保育の宿題問題です。保護者・指導員双方の悩みとなっている場合が見られますが、本当に困っているのは、子ども本人ではないでしょうか。
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目次
なんで学童で宿題をやってこないの?この悩みは永遠のテーマです
はじめまして、がってん学童保育所の所長です。学童保育の仕事を20年以上続けており、その経験から学童保育に関する様々なテーマの発信しています。
今回のテーマは、小学校からの「宿題」です
学童の懇談会では、毎回のように宿題に関する悩みや要望が保護者から出されますね。
中には、「家に帰ってから、夜の12時までかかって宿題をやっている」や「朝の5時に起きて宿題をやっている」など、切実な状況もあります。
働きながら子育てをしている私たちにとっては、宿題は「大問題」なんです。そこのところを指導員にも、もうちょっとわかってほしいんだけど・・・
いや、宿題の声かけはしてるんですけど、本人がやる気にならなくて・・・。他にも手のかかる子がいて、マンツーマンで教える余裕がないんです
「やれ」と言って簡単にやってくれるようなら、誰も悩まないのですが、言ってもやってくれないからみんな困っているのです。
まさに宿題は、保護者にとっても指導員にとっても、永遠のテーマです。
私は、これまで学童で、多くの子どもたちや保護者が宿題で悩む姿を見て、私も悩んできました。
そして今は、宿題は、「やらなくてはいけないこと」としっかり向き合いながら「やりたいこと」があふれる幸せな人生を子ども達が生きていくための訓練だと考えています。
この記事の内容
- 学童によって宿題の取り組み方は様々
- 宿題に対する親の考え方も様々
- 学童での、子どもの「宿題やる気度」には3段階ある
- なぜ言っても宿題をやらないのか
- 学童で宿題の支援が必要な場合
- さいごに・・・
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学童によって宿題の取り組み方は様々
学童によって、宿題に取り組み方は様々です
例えば、「学校から帰ってきたら、まず宿題をしてから遊ぶ」と決まっている学童があれば、「宿題を学童でやるか家に帰ってからやるかや、学童でやる場合でも、いつやるかは、子どもに委ねている」という学童もあります。
最近はあまり聞きませんが、以前は、学童の方針として、「宿題はさせません。なぜなら学童は放課後の時間で遊ぶところだから!」と、指導員が言い切っているところもありました。
また、指導員の宿題に対する働きかけやスタンスも様々です。「宿題をやるように声かけはしますが、細かいチェックはできませんので、必ず家で親が見直しをしてください」というのが一般的ではないでしょうか。
その理由として、「指導員は、教職免許を持っていないので学習指導はできないから」だと聞いたことがありますが、これには少し違和感を感じます。
学童で細かい宿題の指導ができない本当の理由は、指導員の人員が少なく、短い生活時間の中では宿題の支援が大変難しいからです。
私の学童では、宿題は子どもの自主性に任せています。
しかし、特に保護者から強い要望があった時などに、子どもが宿題を学童で終えられるように支援する場合もあります。これについては、後述します。
宿題に対する親の考え方も様々
私がかかわっている子どもの中に、「学童で宿題をしてはいけないとお母さんに言われている」という子がいました。
詳しく聞いてみると、
学童で宿題をやると、早く遊びたいから雑になるのよね~
と、お母さんが言っている、ということでした。
また、ある保護者は、
学童では、お友達と思いっきり遊ぶ経験をしてほしいから、宿題は家でさせます
と言っています。
これはまた、別の問題になるかもしれませんが、保護者が、子どもが宿題をやることに対して無関心な家庭もあります。
そうかと思えば、「宿題を学童でやってきなさい」「なぜ学童では宿題をさせてくれないのか」という保護者もいます。
宿題をいつどこでやるのか、については家庭によって様々な考えがあるんですね。
ただし、私の経験では、家で宿題をさせるという家庭は、比較的保護者の終業時間が早く、17時過ぎ頃には、家にお母さんが帰っている場合が多いようです。
このような家庭では、子どもが家に帰ってから、宿題をやる時間や保護者の余裕があるようですね。
一方、学童終了のぎりぎりに保護者がお迎えに来るような家庭では、家に帰ったら19時、そこから夕食の支度をして、子どもに夕飯を食べさせて、風呂に入れて、寝かせるまでの時間は、まさに「戦場」です。
下にまだ小さい弟妹がいる場合は、保護者が小学生の子どもの宿題を見るなどということは、大変厳しい状況です。
子どもが、いつどこで宿題をやるのかということは、保護者の就労状況をはじめとする家族の状況にも左右されるのです
結果として、保護者の立場から「宿題」の問題を見た時の「困り感」は、
保護者の困り度
- 学童で宿題をやってこなくてもよい
- 学童で宿題をやってきてくれると助かる
- 学童で宿題をやってきてもらわないと困る
というように、3段階に分かれるようです。
大切なことは、保護者の就労状況に応じて、子どもがいつどこで宿題をやるのか、子どもにとっても保護者にとっても負担の少ない方法を、親子でしっかり話し合っておくことです。
そして、その親子の取り決めを、学童の指導員にも伝えておくことで、細かい宿題の内容の指導は難しくとも、子どもが宿題に向き合うサポートをしてもらうことができます。
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学童での、子どもの「宿題やる気度」には3段階ある
次は、子どもの話です。
学童で、子ども達が宿題に取り組む姿勢は、次のいずれかにあてはまります。
子どものやる気度
- 言わなくても宿題をやる子
- 言ったら宿題をやる子
- 言っても宿題をやらない子
私の勤務先の学童では、宿題の声かけは特別な場合を除いてしていませんが、約6割の子どもが「言わなくてもやる子」です。
その全員が全ての宿題を学童で終わらせているわけではなく、保護者との約束で、どれか一つは宿題をやる、と決めている子どもも、この中に含まれています。
残りの子どもたちは、宿題を自分からやらないのですが、保護者から要望があり、子どもに宿題の声かけをした時、大体半分の割合で「言ったらやる子」と「言ってもやらない子」に分かれます。
「宿題」が問題になるのは、「言ってもやらない子」の場合です。
そして、「学童で宿題をやってきてもらわないと困る」という保護者の子どもが、宿題を「言ってももやらない子」の場合、問題は切実なものとなります。
家で親に言われたら「さっ」と宿題を終えられる子どもの場合は、宿題は大きな問題にならないんですよね
学童で宿題をやらず、家で保護者が言ってもなかなか宿題を始めず、鉛筆を持ってプリントを前にしても、ぼーっとしているだけで時間が過ぎて行ってしまうような子どものケースでは、保護者は大変困ることになり、したがって学童に強い要望やクレームがくることになります。
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なぜ言っても宿題をやらないのか
このような子どもたちは、なぜ宿題をやらないのでしょうか。
「言わなくてもやる子」は、もともと「やる気」があります。
「言ったらやる子は」、自分からやる気になることはできませんが、指導員が声掛けをすると「やる気」になることができます。
「言ってもやらない子」は、もはや「やる気」の問題ではありません。
そうです。このような子どもたちは、「宿題をやらない」のではなく、「できない」可能性があると考える必要があるのです。
できないことを毎日「やれ」と言われることほど、つらいことはないですよね・・・。
「言ってもやらない子」が「宿題ができなくて困っている子」のとき、学校での学習についていけていない場合があるので、保護者や指導員だけでは問題を解決することは難しいのです。
まずは、小学校の担任の先生と相談するべきです。
残念ながら、現在の学校教育では、子どもの習熟度に合わせて、一人ひとりの子どもにふさわしい難易度の宿題を先生が出しているわけではありません。
宿題は、クラスの生徒は皆同じ内容で出されますので、授業についていけていない子どもにとっては、やろうと思ってもできない宿題が、毎日配られることになるのです。
この状況が続くと、ますます子どもは勉強が嫌になり、わからないのに、親や指導員からは「やれ」と言われる毎日の中で、自己肯定感を失ってしまうかもしれません。
小学校には、「学習相談」の日があり、保護者の悩みを先生がしっかりと聞き、子どもへのサポートを一緒に考えてくれる仕組みがありますので、ぜひ活用してみてください。
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学童で宿題の支援が必要な場合
私の学童では、宿題は基本的に、子どもの自主性に任せていますが、まったく支援しないというわけではありません。
私は、学童で子どもが宿題ができるように、積極的な支援が必要なケースもあると考えています。
学童で宿題の支援が必要なケース①
「保護者のお迎えが18時以降になる子どもたち」
- 学童で宿題を終えていることが、帰ってからの子どもや保護者の負担を減らすことになる
このような場合は、17時頃の帰りの会の後に宿題の支援をしています。
17時からお迎えまでの間にまとまった時間があり、その時間帯はグループ帰りの子ども達が帰宅しているので、職員体制にゆとりがあります。
また、子どもにとっても、17時までの時間にたっぷりと遊んでいるので、少しすっきりした気持ちで宿題に向き合うことができます。
私の経験で、学童で子どもが宿題をやらないために、保護者が大変な苦労されていたケースで、その対策として、もともと17時にグループ帰りをしていたところを、18時お迎えに変更してもらい、学童で宿題を終えられるように支援したことがありました。
その保護者にとっては、子どもが家に帰る時間が遅くなっても、宿題を終えて帰ってくる方が助かったのです。
しかし、この時の要望が、帰る時間を変更せずに、宿題を必ずさせて欲しいというものであったなら、受けることができなかったでしょう。
17時までの時間は、多くの子どもが学童にいて、子どもたち全体の安全を守るためには、個別対応は難しいからです。
特に言ってもやらない子どもの宿題の支援は、指導員が隣で見守り、励ましを必要とする場合が多いのです。
学童での宿題の支援が必要なケース②
「1年生の子どもたち」
- 1年生は家に帰ってから宿題をする体力がないため
特に新年度は、ていねいに声掛けをします。
1年生は、学校から学童に帰ってくる時間が早く、1年生だけで過ごす時間があります。
この時間に宿題をしても、その後にゆっくりと遊ぶ時間があります。
そして、1番の理由は、1年生の中には、家に帰ってからでは、疲れきっていて宿題をするような体力が残っていない子がいるからです。
1年生には、学校と学童の生活でくたくたで、夕食を食べながら眠ってしまうような子もいます。
家でゆっくりと休んで、明日の力を蓄えるためにも、1年生は学童で宿題を終えていた方がよいのです。
これら二つようなケースでは、学童での宿題の支援は、「学習支援」ではなく、「家族支援」だと私は思っています。
私たちには、働きながら子育てをする家族の生活を支援するという役割があります。
宿題問題を家族支援の問題ととらえて、保護者と言一緒に考えていくことが必要ではないでしょうか。
さいごに・・・
宿題が問題になる時は、色々な背景があることがわかりました
学童によって、宿題の取り組み方は様々ですが、宿題の問題が切実な場合は、家族支援の問題として、保護者と解決策を相談する対応が、学童保育や指導員には求められます。
「宿題をやらない子」としか見てなかったけど、「宿題ができなくて困っている子」なら、もっと気持ちに寄り添った支援をしていきたいです!
まとめ
- 保護者の就労状況によって、宿題の困り感は違う
- 「宿題をやらない子」と「宿題をやってきてもらわないと困る保護者」の組み合わせが、宿題問題を切実にする
- 「宿題をやらない子」は、学校の学習についていけていない場合があるので、担任の教師に相談する
- 18時以降のお迎えや1年生の場合は、積極的な宿題の支援をする
- 宿題問題を家族支援の問題ととらえる必要があるケースもある