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今回のお話は、続編です。まだ前編を見ていない方はこちらから。
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「がってん学童の宿題論争」中編【学童保育の宿題の悩みについて】
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がってん学童保育所の指導員、たけしです。
あっという間に、おいらの懇談会デビューの日がやってきました。
あれからずっと、学童の子ども達や宿題のことばかり考えて、グルグルしたりしながら、何とか準備を進めてきました。
たけし先生らしい、良い内容に仕上がっているよ
練習通りやれば大丈夫だから、自信もってね!
所長はそう言うけれど、親に話すとなると、やっぱり緊張する・・・。
途中で、もう駄目だと思ったら、こうやって横を見ながらウインクをしてサインを送ってね
フォローするから
は、はい・・・
そうして、懇談会が始まり、ついにおいらの出番がやってきた。
・・・それでは次は、指導員の山田より、宿題に関する保護者の皆さんへのお願いです
進行役の先輩が、小さな声で「がんばって!」と言ったけど、おいらは何かを言い返す余裕もなかった。
こ、こんばんは、し、しどういんのやまだです
今日は、保護者の皆さんといっしょに、子ども達の宿題のことを考えたくて、話をします。
ところで、み、みなさんわ、ぱ、ぱんはすきですか??
放課後のパンの中には子どもたちの成長に大切な栄養がいっぱいつまってる。
そのパンを、宿題の神と遊びの神が奪い合って大変なことになってます!
・・・
す、すいません
ちょっとわかりにくかったっすね・・・
・・・放課後劇場の舞台で、遊びの神と宿題の神がダンスを踊ってるんです。
ところが、その舞台が、ステージが、ずいぶん小さくなってしまって・・・どっちかしかダンスできないみたいな状況です。
この問題をかいけつしたいと思いませんか?
・・・?
ぼ、ぼくは、学童で子ども達と過ごしていて、宿題のことで、いろいろ考えることがあって・・・
夢の中でも考えていました。
夢の中に宿題の神様と遊びの神様が出てきて、その神様は学童の子どもにそっくりでした。
二人はけんかしていたので、仲良くしてほしいと思った。
指導員だから、子ども達には仲良くしてほしいです。
(夢の中まで子どもとかかわってんのね・・・)
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が、がってん学童では、宿題は、子ども達のじしゅせいに任せています
帰ってきて、宿題をやる子もいるし、やらない子もいます。
1年生には、できるだけ、帰ったら宿題をやるように声をかけています。
家に帰ったら、疲れて寝ちゃう子もいるので。
それでも、1年生の中には、声をかけても宿題をやらない子もいます。
そんな時は、無理に何がなんでも宿題をやりなさい!っていうのはやめています。
なんでかって言うと、子どもは学校で一生懸命勉強をがんばって、ただいまい~って学童に帰ってくるんです。
学童でやりたいことをやろうって、わくわくして帰ってくるんです。
その気持ちを大切にしたいからです。
あったかく迎えてあげたい。
やりたい遊びを思いっきりやって、学童のことを好きになってほしいしいです。
けど、それでいのかな?って悩む気持ちもあります
学童で宿題をやらない子どもは、家で宿題をやります。
お母さんやお父さんは、子どもが家に帰ってきたら、「宿題はもうやったの?」って聞かないといけなくなります。
「まだやってないの?」
「はやくやりなさい」って言わないといけなくなります。
お母さんやお父さんだって、子ども達をあったかく迎えたと思っているけど、それができないようになってしまう。
そこは、ぼくとしては考えないといけないと思っています。
ほんとは学童で、宿題もやって、たっぷり遊べたら一番いいんだけど・・・。最初の話に戻るけど、放課後の舞台は短いんです。だからみんな困ってる。
宿題がどうとか遊びがどうとかで困ってる問題のおおもとは、放課後の舞台が短いことかもしれない。その問題を一緒に保護者の皆さんにも考えてもらえたらと思います。
それで、だったらどうしたらいいのか?
どう考えたらいいのか?っていうのがこっからの話です。
宿題は「やらなくてはいけないこと」の代表選手です。遊びは「やりたいこと」の代表選手です。
保護者の皆さんは、どっちが大事だと思いますか?
人生の中では、「やるべきこと」っていつもあります。
生きていくためのお金をかせぐ「仕事」とか、毎日の家族の料理とか、掃除や洗濯とかお皿洗いとかトイレ掃除とかの家事とか、それこそ「やるべきことは」山のようにあります。
けど、それだけでは人間は生きていけないと思うんです。幸せになれないと思うんです。
僕は、生きていくためには「やりたいこと」があるってことが大事だと思います。
ここにいる、保護者のみなさんもきっとそのことはよくわかっていると思います
家に帰って、ビールを一杯飲んだりとか、好きなマンガやドラマを見たり、旅行に言ったりキャンプに行ったり、友達と会ったり、ぼーっとしたり・・・。
ぼくが尊敬する友達なんかは、「やりたいこと」をいっぱい持っていて、いっぱいやっている人たちです。
そんな友達を見ていると、豊かなで幸せな人生だな~、ぼくもそうなりたいな~って思います。
で、話は子どもたちの放課後に戻ります。
宿題はやるべきことで、遊びはやりたいことです。
どっちが大事なのかって言われたら、どっちも大事です。
僕は、子ども達に、やるべきこともちゃんとやって、やりたいことがいっぱいあふれる人生を歩んでほしいです
だから、子ども達にはどっちも大切にしてほしい。けど、それは大人でも難しいことです。
子どもは上手にできません。子どもは今、放課後の時間の中で、やるべきことをしっかりやってやりたいこともいっぱいやる
練習をしているんです。
うまくできない日もあります。
だから、やるべきことができていなくても、やりたいことをやってきた日は、ほめてあげてほしい。
子どもが家に帰ってきたら、「宿題をちゃんとやってきた?」ってきくことも大事かもしれないけど、それと一緒に「やりたいことをやってきた?」ってきいてあげてほしい。
子どもが放課後の中で、やりたいことをちゃんとやってるかどうかを見てあげて欲しい。
それが僕からお父さん・お母さんへのお願いです。
もひとつ、たとえ話ですが、サッカーのリフティングって知ってますか?
自分でポンポンとボールを落とさないように蹴り続ける技です
宿題っていうのは、リフティングです。個人練習です。
けど、リフティングだけしていても、サッカーの試合では通用しません。
僕はサッカーをしていて、そのことをいつも言われました。
試合で通用するためには、仲間にパスをしたり、チームでコミュニケーションをしたり、ぶつかったり、協力したり、そんな練習が絶対必要です。
何が言いたいかと言うと、
放課後の中で、学童で、子ども達は仲間と遊んだり協力したり、社会という試合に出るための練習をしています。
とても大事な経験です。それは宿題をやっているだけでは身に付かない。
だけど、残念なことに、今、子ども達の中には、宿題をやるために、誕生日会がめんどくさいとか、掃除がしたくないとか言う子がいます。
それで、「だから学童はいやなんだ!」って言ったりする子がいます。
僕は、子ども達には、仲間のことを一生懸命できる人になってほしいです
だから、子ども達が、みんなのことをすすんでやれるように、取り組みを工夫していくのが、僕の役割だと思っています。
これは、所長の受け売りですが、「子どもは子どもの中で育つ」これは、僕は学童の指導員になっていつも感じていることです。
そんな経験ができる放課後の時間を大切に思っています。
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それで、さっきの話ですが、子どもが家に帰えって来た時に、「宿題はやってきたか?」と一緒に「やりたいことはやってきたか?」を見てあげてほしいんだけど、「仲間のために何をやってきたか?」ってことを、親として大事に見てもらえると嬉しいです。
家の中でも、宿題やゲームをやるだけではなくて、家族のために子どもがやることを、大事にしてほしいです。
僕は、独身ですが、親になったら、子どもには成長してほしいと思うし、子ども達に幸せになってほしいと思う。
そんな気持ちが、目に見える「宿題」には、ギュッと集まってしまうんじゃないかと思うんです。
けど、同じように子どもの成長や幸せに大切なことで、目に見えないこともたくさんあると思います。
それを、もっともっと保護者の皆さんに感じてもらえるように、僕は頑張っていきたいと思います。
僕からの話は以上です
それでは、この後は、グループに分かれて、保護者の皆さんで意見交流を行います・・・
その後の保護者交流では、色んな親の意見が出ました。
「やっぱり学童で宿題をやってきてほしい」とか「家での宿題の大変な様子」とか・・・
おいらはちょっとほっとしました。
がってん学童が、親にとっても、自分の意見を言える、本音が出せる場になってると思えたんです。
おいらは、おいらの気持ちを伝えることができました。
そして、親は親としの気持ちを話す。お互いの意見を出し合って、子どものために一緒に考えていく、これが学童の良さなんだ。
宿題って永遠のテーマなのかもしれない。
けど、その話の中では、子どもの成長や幸せを真ん中において話していけたらって、おいらは思います。
ちょっとえらそうだけど・・・
懇談会終了後
たけし先生、お疲れだったね!
お疲れさま!
はい!めっさ疲れたっす!
先輩と所長もお疲れさんでした~!
懇談会、なかなか良かったね
宿題の話は、親としても考えさせられたな
最初は何言ってるのかわからなかったけど・・・
「たけし」って感じだったね~、くくく・・・
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その夜、おいらは夢を見ました。
夢の中のお話
うふふふ、あははは・・・
だれ?
よかったわよ
なかなかよかったぜ
おー!宿題の神と遊びの神よ!!
あなたらしく言えてたわ
自分の言葉で言ってたね
そ、そうかな・・・
まだまだ勉強が足りないけど
遊び心も足りてないけど
あら~
いっぱい悩んでいっぱい考えて
いっぱい遊んでいっぱい発信して
は、はい!
最後に言っとくけど
幸せのためとか、人生のためとか、何かのために子どもは遊ぶんじゃない
へ?、どういうこと?
そこは自分で考えないと
あなたへの宿題よ
そう言い残して、2人は神々の国へ帰って行った・・・
エピローグ 数日後・・・
今日もてっちゃんが、かっけーに、けんだまを教えていました。
とめけんは、最初に玉をぴったりとめるのが大事なんだ
難しいよ・・・
おいらは、二人の様子をそばでずっと見守っていました。
も、もうすこし・・・
おやつの後も二人で一生懸命。そしてついに!
は、入った~!!
すごいよ!!
なんと、かっけーがとめけんを成功したんだ!
1年生で成功するんなんて、かっけーもすごいけど、教えたてっちゃんもすごい!
子どもってすんげー!
ちょうど、その時、かっけーの父ちゃんが学童にお迎えに来たんです。
かっけー、本当に嬉しくて嬉しくて、父ちゃんに報告したんです。
父ちゃん!ぼく、「とめけん」ができたんだよ!!
とめけんって、どんな技だったけな?
ちょっと見ててね!
ほら!
わお!
すごいな~かける!
いっぱい練習したんだね
うん!てっちゃんに教えてもらったんだ!
よかったな~かける
ところで、宿題はやったのか?
・・・え?まだだけど・・・
しょうがないな~、帰ったら父ちゃんと一緒にやるぞ
うん!帰る準備するから待っててね~!
おいらは心の中でガッツポーズした。
(完)
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