この記事では、「鍵盤ハーモニカを、ご近所に迷惑にならないように楽しむにはどうしたらいいのか?」という問題を、1年生たちと話し合う活動を通して、学童保育の生活の中で起こる様々な問題を、子どもたちと一緒に考え合うことの大切さをお伝えしていきたいと思います。
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こんにちは、がってん学童所長です。
今日は、最近私の職場であった、指導員と子どもとのかかわりを記事にまとめてみました。
日々の生活の中で起こる、様々な問題を、子どもたちと一緒に考え合う一場面から、学童保育の素晴らしさを感じた出来事でした。このようなかかわりの積み重ねが、子どもたちにとって居心地がよい学童保育につながっていくのではないかと思います。ぜひ読んでみてくださいね。
目次
鍵盤ハーモニカを楽しそうに演奏する子ども達だけど・・・
先日、1年生たちが、学童のベランダで、鍵盤ハーモニカを吹いていました。
気持ちの良い秋の空に、子どもたちが奏でる自由な音色が吸い込まれていくようでした。
だけど、たくさんの子どもたちが一斉に、好き勝手に吹いているので、それはもう大変な音量です。
私の職場の学童は、住宅地の中にあります。子どもの活動に理解のある地域の皆さんだけに、あまり迷惑にならないようにと、普段から気をつけています。
ご近所の人たちにしたら、さぞ、やかましいだろう・・・
注意してやめさせることはできるのですが、子ども達は、とっても気持ちよさそうに鍵盤ハーモニカを吹いています。小学校で鍵盤ハーモニカを習って、それを演奏したい気持ちがあふれていました。
幸い、まだ、ご近所から苦情がきているわけではありません。ただ、「こんな様子が毎日続くと、いつかご近所から苦情がくるかもしれない」と、私が一人で心配している状況です。
子ども達が鍵盤ハーモニカを楽しめて、ご近所の人にも迷惑にならない、いい方法はないかな?
子ども達に相談して、みんなで考えたいと思いました。
私は、次の日、職員の打ち合わせで、このことを問題提起しました。
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職員に相談したところ・・・
・・・って思ったんだ。子ども達はとても楽しそうだったから、昨日は注意はしなかったんだけど・・・。
すると、同僚の指導員の、たけし先生が言ってくれました。
僕から、1年生に話してみてもいいですか?
たけし先生は、帰りの会で1年生たちを集めて、話をしました。
みんな、最近、鍵盤ハーモニカ、楽しそうに吹いているよね!
先生も楽しくなっちゃうよ!!
うん、鍵盤ハーモニカ好き。
だけどさ、学童のまわりには、色々な人が住んでいて、夜に働いてる人とか赤ちゃんとか、お昼間に寝ている人にとったら、鍵盤ハーモニカの音はうるさいかもしれないって思うんだ。
みんなも楽しく鍵盤ハーモニカをふけて、学童のまわりに住んでいる人も困らない、いい方法ないかな~?
・・・
たけし先生は、こんなふうに子どもたちに問いかけました。
私は、帰りの会を見させてもらいました。そして、この時の、たけし先生と子どもたちとのやりとりが、とっても素敵だと思いました。
彼が、日頃から大切にしていることを感じることができたからです。
1年生だけの帰りの会で
みんなも楽しく鍵盤ハーモニカをふけて、まわりの人も困らない、いい方法ないかな~?
子どもたちから、いろんな意見が出ました。
ちいさいおとでふいたらいい!
いきをすぼめてふく!
はんぶんのいきでふく!
1年生の感性っておもしろいですね。子どもらしい発想で、口々に意見を言っていました。
私たち大人からしたら、小さい音でふくことや、集団でその状態を維持することは、1年生にはとても難しいことだということはわかっています。
だけど、たけし先生は、その一つひとつの意見を、大切に受け止めていました。
おお~、いいね!
たけし先生のそんな雰囲気のおかげで、子ども達は安心して発言ができているように思いました。
すると、そのうち、こんな意見も出てきました。
じかんをきめてふく!
たけし先生は、さりげなく、その子の意見をとりあげました。
時間をきめるって?くわしく言えば、どういうこと?
様子を見ていた私の予想とは違う意見が、子どもから出てきました。
10びょう!
そうきたか。1年生の思考っておもしろい。私は再び思うのでした。
じ、10秒ってめっちゃ短くない?そんなんで本当にいいの?
20びょう!
20秒?
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1年生の子どもたちが活き活きと発言できるのは・・・
たけし先生が、1年生とのやりとりを楽しんでいる様子が伝わってきました。
1ぷん35びょう!
なんだよ~それ~
うふふ
えへへ
1年生の子ども達も楽しそうです。
こんなやりとりが、しばし続きました。
だれかの意見を馬鹿にしたり、否定するようなことを言う人はいませんでした。
私は、「なぜだろう?」と思いました。なんで1年生はこんなにも安心して、活き活きと意見を出し合えるのだろう?
きっとそれは、たけし先生が、正解を求めていないからじゃないかと思いました。
たけし先生は、子ども達に相談している。子ども達は自分で考えたことを発言している。そこには、小学校の算数の授業のように決まった答えがあるわけじゃない。
たけし先生なりの正解はもっているのだろうけど、それは前面には出さないし、そこにむかって急ぐようなことはしないのです。
私は、あらためて、学童保育の、放課後の営みの素晴らしさを感じました。こんな風に、様々な問題を話し合える場所って、子ども達にとって、とても大切なんじゃないかと思いました。
そんなことを考えていると、ある子どもからこんな意見が出てきました。
おやつのあとからかえりのかいまでにじかんをきめたら?
意見を「まとめない」方が良い場合も・・・
なるほど~
たけし先生は、その場で話をまとめようとしたり、ルールを決めることはしませんでした。
ただ、こんな風に言って、帰りの会を「フワッと」しめくくりました。
みんな、たくさんの意見をありがとう!
みんなの意見をもとに、先生たちで、考えてみてもいいかな?
うん。
いいよ~!
たけし先生が、1年生たちの意見を、その場でまとめなかったことについて、私は考えてみました。私だったら、みんなの意見をまとめようとしたかもしれないと思ったからです。
それで、こんな風な考えにいたりました。
「子どもたちの意見を、ルールとして結実させる」それが、一人ひとりの意見を大切にすることだと考えてしまいがちだけど、それをやると、今日みたいに、子どもたちが自由にのびのびと発言することができない雰囲気になってしまうかもしれない。つまり、まとめる過程で、(進め方にもよるけれど)子どもの意見に優劣を感じさせてしまったり、大人が思う正解を子どもが意識するようになるかもしれない。
たけし先生が「フワッと」しめくくったおかげで、「みんなたくさんの意見をありがとう」と言ってくれたおかげで、子ども達はまた次の機会には、同じように活発に発言してくれるんじゃないかと思いました。
今日はこれで良かったんじゃないか、いや、これが良かったんじゃないかと・・・。
たけし先生と子ども達とのかかわりから、学ばせてもらいました。
今回の話が、今後どのようにつながっていくのかを、楽しみに見守りたいと思います。
さいごに
実は、たけし先生は、4月から、このような、1年生の子ども達と話し合う活動を大切にしてきました。
異年齢での活動が学童保育の魅力の一つですが、時々は、このように学年別の話し合いの機会を設けることで、ふだんはみんなの前で発言できない子どもが意見を言えたり、異年齢集団の中では見えにくい、学年ごとの雰囲気が見られたりすると感じています。
今回のケースで言うと、家族や、学童にいる仲間や先生と違って、目に見えない地域の人の気持ちを考えることを出発点にした話し合いは、1年生の発達過程では、少し難しいことかもしれないのです。しかし、1年生だけで話し合ったことで、1年生たちのペースで意見を出し合えたのではないかと思います。
こうした、身近なテーマや日々の問題を低学年の頃から話し合う活動が、やがて、高学年会議で、色々な事柄を自分たちで話し合い決定していく、「自治活動」につながっていくのではないでしょうか。
学童の生活では、日々、様々な問題が持ち上がります。そんな問題を、子どもたちと話し合うことを、これからも大切にしていきたいと思いました。
所長の「子ども達が鍵盤ハーモニカを楽しめて、ご近所の人にも迷惑にならない、いい方法はないかな?」って考え方が良かったと思いますよ。
いやいや、その後のたけし先生のすすめかたが良かったよ。
さすが所長!
さすがたけし先生!
がってん学童をこれからもよろしくお願いしま~す!
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