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こんにちは、がってん学童指導員の、りえです。
今日のお話は、夏休み明けに私の学童で起こった出来事について書きました。
私たちがってん学童の指導員が、子ども同士のちょっと「微妙な関係」を「見守る」ことの大切さや難しさを感じることになった事例です。
同じような子ども同士の関係で悩んでいる指導員の皆さんや保護者の皆さんにとって何かしらのヒントとなることを願っています。
目次
仲良し3人組の様子が変?
夏休み明けのある日のことです。
みさととさやが学童へ帰ってきました。
ただいま~!
ただいま、りえ先生。
おかえり!
少し遅れて、ふみかも帰ってきました。
ただいま・・・
(あら?)
私は、なんだか、ふみかの表情が曇っているように感じました。
みさと・ふみか・さやは、1年生の時から、同学年の子どもの中でも特に一緒に遊ぶことが多い「仲良しグループ」です。学童の行き帰りや、宿題をやる時なんかも、いつも一緒でした。
ところが、夏休み中頃から、3人の関係が少し変化したようなんです。
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私はあえてスルーした方が良いと思ったが・・・
子ども社会にも色々あるわよね・・・
私は、3人の「気になる様子」を、あえてスルーしました。ふみかが私に助けを求めてきたわけではないし、距離をおいて、子ども同士の関係を観察する段階だと判断したんです。
ところが・・・、
離れたところで、3人の様子を見ていたらしい同僚のたけし先生が、ふみかをつかまえたんです。
え?
「ここは見守ってほしい・・・」と伝える間もなく、たけし先生はふみかに声をかけました。
ふみかちゃん!どうしたの?
元気ないじゃん?
え?・・・
なんかあったんじゃないの?帰り道とかで
う、うん。さやちゃんと一緒に帰ろうと思ったんだけど、みさとちゃんと二人で先に帰っちゃって・・・
一緒に帰れなかったんだね、よし、今から先生がいって、さやちゃんに話をしてあげ・・・
ちょっとまった~!!
??
ふみかごめんね、私、たけし先生に大事な用事があるのよ。
たけし先生、ちょっとこっち来てくれる~?
私はすんでのところで、たけし先生を阻止して事務室に連れ込みました。
大人の介入は慎重に??
先輩、なんなんすか??大事な話の途中なのに
あなた今、何しようとしたの??
何って、ふみかちゃんが寂しい思いをしないように、3人で一緒に帰るように、ふみかちゃんとみさとちゃんに話をしようと思ったんすけど。
それを言ったら、
どうなるか考えてよ!!
あのね、今、3人の関係はとっても微妙なの。例えて言うなら・・・そうね・・・アメリカのチリカワ国定公園の「Big Balanced Rock」みたいなものなの。
そんな中でね、指導員のあなたが、「ふみかちゃんが寂しい思いしてるだろ?一緒に帰ってあげなよ」なんて、みさとやさやに言ったら、どうなると思うのよ?
どうなるって言うんすか?
3人の関係がおかしくなるにきまってるでしょ!
ひょっとしたら、さやはこう思うかもしれない・・・。
(ふみか、たけし先生に告げ口したんだ・・・)
気が強いみさとはこう思うかもしれない・・・。
(むかつく!)
そうじゃなくてもね、先生に言われたから、「なんか無理やり」って感じで3人でそろって帰ってきたとしてね、そんなことをたけし先生は望んでいるわけ?
ここは見守ってほしい!!
私は、今は、3人の関係に指導員が介入しないで、もう少し様子を見たほうがいいと思うの。
「見守る」だけなら指導員なんていらない?
・・・僕の考えはちょっと違う。
僕は、子どもたちはみんな、学童で安心して過ごしてほしい。
だから、困っていることとか、悩んでいることがあったら力になってあげたい。
さやちゃんとみさとちゃんが、ふみかちゃんの寂しい気持ちに気付いてないなら、気づかせてあげたい。
そうすることで、二人の行動が変わるかもしれない。
み、見守るだけで何もしないなら、指導員なんて
いなくてもいいじゃないか!?
見守るってことは、何もしないってわけじゃない!
事務室で話を聞いていた所長が、割って入ってきたのはその時でした。
二人とも、ちょっといいかな・・・
子どもを「見守る」ということは・・・
2人が言っていること聞いていたけど、どちらも間違っていないと思うんだ。
僕たちの仕事は、子ども達が安心して学童に通えるように支援することだから、たけし先生が言うように、悩んでいる子や困っている子がいたら、問題を解決できるようにサポートするのは大切なことだと思う。
ほら!
・・・
一方で、子ども自身が様々な問題を乗り越えていける力をつけていくためには、りえ先生が言うように、距離を置いて見守らなければならない場面もあると思うんだ。
ほら!
・・・
だから、二人の言うことは、それぞれになんら間違っていないんじゃないかと思ったんだ。
そのうえで、って話だけどね・・・
指導員としての自分のかかわりが、こども同士の関係に土足で踏み込むようなことや、大人の思いだけで、子どもたちの関係をコントロールしようとするようなことになっていないかを常に振り返ったり、自分を客観視することは大切なことだと思う。
・・・
また、指導員が口出しをしたら、子どもが「告げ口した」とか「むかつく」と思ったりするからなど、ネガティブな思考で距離をおくことが、本当に「見守り」と言えるのだろうか?
あれは言葉のあやでして・・・
りえ先生クラスの経験年数の職員なら、言葉を選ばないといけないと思うよ。
微妙な子ども同士の関係だからこそ、その関係性を表現する指導員の言葉は適切なものでないといけない。プロとしてお互いに気をつけていこうよ。
はい・・・。
とにかく、僕がよくないと思うのは、指導員がそれぞれの思いがバラバラなまま、子どもとかかわることなんだ。
だからさ、3人の子どもたちの様子について、しっかり話し合ってみようよ。
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微妙な関係は「黄信号」?
所長の提案もあり、翌日のミーティング(打ち合わせ)で、私たちは、気になる3人の様子について相談することになりました。
まず、一般論から入るけど、「微妙な関係」と言ったら、次の図のような関係だね。
指導員からしたら「なんだか気になる」、「見ていたら心配になる」、かといって即対応が必要かどうかは迷ってしまう、そんな関係ってあるよね。
あるある・・・
「安心できる関係」や「対応が必要な関係」は、誰が見ても一目瞭然という場合が多いけど、「微妙な関係」は、人によって受け止めが違う場合も多い。指導員からしても意見が割れることがあるんだよね。
それに、「微妙な関係」は特徴として、原因が見えにくいということがあげられる。ケンカやトラブルなど原因がはっきりしている場合は対処しやすいけど、原因部分がモヤモヤとしていることが多いと思う。
たしかに・・・
微妙な関係って、信号でいえば黄色みたいな感じ?
信号に似ているけど違うところもあるかな。
信号機は「黄色」の次は必ず「赤」になるけど、微妙な関係は黄色が長く続いたり、赤にならずに青に戻ったりすることもあるよね。
子ども同士の関係って流動的だから、短期的(たとえば一日の生活の中)に見ると激しく変化したり、中・長期的に見ても、少しずつ変化していくものだと思うんだ。
そんな子どもたちを継続して支援していくのが僕たちの仕事だから、何が大切かといったら・・・
状況の把握?
それと分析?
うん。それをこれからみんなでやっていこう。
状況把握と分析が大切
それから私たちは、あらためて、気になる3人の「微妙な関係」について、お互いが確認している様子やそれぞれの考えを出し合いました。
その結果を簡単にまとめたものが、次の図です。
私たち職員が共通して感じていることは、以下のような事柄でした。
- 3人の関係が変化したのは、夏休みの中頃から
- 思い当たるような「これといった原因」は見当たらない
- みさととふみかは、お互いにさやと過ごしたいという気持ちがある
- さやとみさとの結びつきがとても強くなっている
- みさととさやがあからさまにふみかを排除しようとしている言動はない
3人でいる様子を見ていたら、なんだか苦しくなっちゃう。
宿題の時も、ふみかちゃんの隣はいつもみさとちゃんだし・・・。
お互いにさやと過ごしたいふみかとみさとだけど、押しが強いみさととさやが二人で過ごすことが増えているね。
また、私たちが話し合う中で確信を深めたことは、みさと・さやはふみかを積極的に排除しようとしているわけではないということでした。
ただ、純粋に、二人で過ごしたいと思ってるのよ。
けど、積極的じゃないにしても、ふみかちゃんが寂しい思いをしているのは変わりないと思う。それって、「自分たちさえよければいい」って考えなんじゃないっすか?
かといって、「3人で仲良くしなさい」って言葉は指導員として言いたくないのよ。
「仲よくしなさい」。これほど大人都合で意味のない言葉はないと私は思う。仲良くするのは大人から言われてするものではないし、大人の前だけ仲の良い姿を見せるようになったとして、それって解決とは逆の話になっちゃうと思うの。
3人の関係を「見守り事案」とすることに
ミーティングで、指導員同士がお互いに意見を出し合う中で、少しずつ3人の関係が整理されていきました。
私たちにとっては気になる関係だけど、今の時点では、ふみかを含めて3人の子ども達から指導員に何らかの訴えがあるわけではなく、ふみかが自分の力で対処しようとしているように感じられました。
やっぱり、もう少し様子を見守る必要があるんじゃないかしら?
そうっすね・・・。
たけし先生も、状況が把握できたことで、少し落ち着いたようです。
じゃあ、さや・みさと・ふみか3人の関係を、1か月間、「見守り事案」として、今後も続けて様子を見ていこう。
みまもりじあん?
私たちの職場で言う「見守り事案」とは、指導員間で、特定の子ども同士の関係に着目して、一定期間観察することです。それぞれの指導員が気づいた様子は、毎回の打ち合わせで報告し合います。
気になる様子がない場合も、毎回、そのことを共有します。
今回のような微妙な関係の場合、あえて「見守り事案」とすることで、それぞれの指導員がその関係を意識するため、様々な角度から子どもの様子をとらえることができるようになります。
また、気になる様子やトラブルがあった時にその都度報告するだけでなく、それ以外の様子も出しあうため、逆に、これまで気づかなかった子ども同士の関係の中の「良い一面」を発見できる場合もあるんです。
定めた期間が経過したら、あらためて指導員で相談して、何らかの対応をするのか、期間を延長するのか、見守りを解除するのかを決めるというわけです。
たけし先生は今年からだから知らないけど、昨年度なんか、同時に何件もの「見守り事案」があったんだよ。
た、大変っすね・・・。
そう、見守るのも楽じゃないんだよ。
私たちは他にも、「見守り事案」とした3人の関係を、どのように見守っていくのかについて話し合いました。
見守るってことは、気になる様子を放置する「放任」ではなく、かといって事が起こらないように「監視」することでもない。
見守るということは、子ども達が自分たちの力で問題を解決できるように、子ども達の力を信じて「待つ」ということです。
かといって、絶対に指導員が「対応」をしてはいけないということではなく、それぞれの指導員が必要だと感じた時には、子ども達に支援の手を差し伸べることも指導員で確認し合いました。
手出し口出ししたらいけないと思ってたけど、いいんすか?
状況を共有したあとだからね。たけし先生のこと信頼して任せるわ。
そんなある日
さや・ふみか・みさとたち3人の関係が「見守り事案」となり、1週間が過ぎた頃のことです。
「微妙な関係」が揺れ動く出来事が起こりました。
小学校から帰って来たふみかが、泣きながらたけし先生のところに言いにきたんです。
さやちゃんが、みさとちゃんと遊ぶから遊べないって・・・
え?
今年度に入ってからは、ふみかが泣いたり、それを指導員に言いにきたのは初めてのことでした。
そして、この出来事をきっかけに、ある人物が登場したことで、3人の子ども達の「見守り事案」は思わぬ展開をすることになったのでした。
(後編に続く)
<後編>では、今回の3人の関係の「原因部分」の考察、関係改善のための具体的な取り組み事例、〇〇とともに見守るうえで大切にしたいこと、などの内容について書きたいと思います!
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