指導員の面接で・・・
指導員の面接の時に、「私、子どもが好きなんです!」と言う人がいたら、少し心配になります。
大丈夫かな・・・
なんてこと言うんですか!私、子ども好きですけど、悪いですか!?
そういうわけじゃないんだけど。
実は昔、「子どもが好きです!」って言ってた指導員が3カ月で辞めちゃったんだ
私は、所長という立場なので、多くの職員面接を担当してきました。
そんな中で、「子どもが好きです」と言っていた人が、3カ月で辞めてしまうということがあったんです。
今回の記事は、これから指導員を目指す方や、学童保育所の職員面接を受ける方にとっては、役にたつ情報かもしれません。
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「子どもが好き」と言っていた人が3カ月で辞めてしまった理由
誤解のないように言っておきますが、私は、これから学童保育の仕事をしよう、と思っている人は、「子どもが好きな人」であって欲しいと思っています。子どもが嫌いな人に、この仕事はできません。
なんでその人辞めちゃったんですか?
「この学童の子どもは、言うことを聞かない!問題がある!」って言って、辞めたんだよ
確かに・・・。言うことを聞いてくれないこともいっぱいありますよね。
3カ月で指導員を辞めたその人は、学習塾の先生の経験があり、子どもとのかかわりには、自信を持っていました。ところが、学童では、なかなか子どもが自分の言うことを聞いてくれなかったのです。
その人の中では、塾の教室で座っている「先生の言うことを聞く生徒」が、子ども像だったと思うんだ
それで、そのイメージでもって「子どもが好き」って言っていたんだね。
その人は、子どもは素直、子どもは礼儀正しい、というイメージが強かったようです。
そんなことがあってから、私は、「子どもが好き」という言葉を聞くと、この人は、子どものどの部分を見て「好き」と言っているのだろうと、気になるようになってしまったのです。
あるお父さんの話「愛と恋と結婚の違い」とは?
昔話になるんだけど、学童の仕事を初めて間もない頃に、保護者のお父さんと飲みに行ったんだ
そのお父さんは、消防士で、生死にかかわる仕事をしているだけあって、人生観が常人とは違うというか、とにかく若い私にとっては、いろいろためになる面白い話を聞かせてくれました。
随分と酒が進んだ後のことです。そのお父さんが、コップを片手に、酔った目で私をみつめながら、ある質問をしました。
先生、愛と恋と結婚の違いってわかりますか?
・・・いったい何の話ですか?
まぁまぁ・・、今回のテーマと関係のある話なんだよ。
私は、その当時、恋と愛の違いというのは、何となく理解していました。「恋は一方通行で、愛は双方向」というやつです。けれど、「愛と結婚の違い」というのは、全くわかりませんでした。
「愛し合っているから結婚するのではないのか??愛≠結婚??それどういうこと?全くわからへん・・・。」
私がそのように答えると、そのお父さんは、
「フッ」と笑って遠くを見つめながら、
結婚は「生活」なんですよね~
と、言いました。そして、コップを片手に何やら物悲しい歌を口ずさんでいました。渋すぎる・・・。
この、「結婚は生活」という意味が、その後もずっと、私は理解することができませんでした。
その後、私は結婚しましたが、それでもやっぱり、わかりませんでした。
しかし、結婚して10年以上が経ち、子どもができて、夫婦で様々な苦労を乗り越えた時に、このお父さんが言っていたことが、ようやくわかるようになりました。
話がわかりませ~ん
つまりさ、学童保育は「生活」ってことなんだ
「恋と愛と結婚の違い」
「あの人かっこいいな~」とか、「あの人かわいいな~」とか、心の中で思っている段階が、「恋」です。「恋」は自分本位な感情です。
「愛」は相手本位の感情です。愛するためには、自分が努力をしないといけないこともあります。
そうして、愛し合った二人が結ばれて、「結婚」しました。
「結婚」すると「生活」を共にします。家の中では、お互いに「生(なま)」の自分を見せ合うことになります。「かっこ悪いところや」「かわいくないところ」だって見せ合います。
「結婚」のイメージを汚さないでもらえます?
それでも結婚は、素晴らしいものさ!
お互いに家の外で頑張っているのです。だからこそ、家の中では、だらしない自分や弱い自分をさらけ出します。そんなお互いを受け止め、支え合って生きていくのが「家族」です。
学童は「生活」
学童は家庭にかわる「生活」の場です。
そこには、子どもの「かわいい」姿や「かっこいい」姿がたくさんありますが、「わがまま」「いいかげん」など、その子どものありのままの姿もたくさん目にすることになります。
そんな姿を受け止めつつ、子どもも指導員もお互いに成長していくのが、学童保育の営みだと思うんです。
辞めていった人は、子どもに「恋」をしている状態だったんだね
「生活」を共にすると、嫌な姿がたくさん見えて、この仕事も嫌になっちゃったんだ・・・
面接の時に私が質問すること
「子どものことが好き」と言っていた人が辞めてしまった出来事の影響もあり、その後私は、職員面接で「子どもが好き」という人には、「どんなところが好きですか?」と突っ込んだ質問をするようにしています。
特に子どもの職場の経験者の面接のときには、必ず、「前の職場で一番苦労したことはなんですか?」と質問します。
この質問に対して、「苦労したことなんてないですよ~、ただかわいくてかわいくて・・・」と答えた方がいました。5年間学童保育で勤めた経験のある方でしたが、採用はしませんでした。(この質問の答えのみが不採用の理由ではありませんでした。)
私の感覚では、学童保育で5年も子どもと生活をともにして、苦労話がないなんてことは考えられません。
さいごに・・・
私は、しばらくはこの仕事辞めないんで、安心してくださいね。
(しばらくって言った?)「子どもが大好き」な君が、いつか「この仕事が大好き」って言ってくれると嬉しいよ。苦労はあるけど頑張ろうね!
「子どもが好き」ということは、学童保育指導員の入り口に立つうえでは、大切な要素だと思います。そして、学童保育での子どもとの「生活」は、子どもが「好き」という思いだけでは太刀打ちできない場面もあるかもしれません。
しかし、そんな場面を乗り越えて、学童保育の仕事の価値や、やりがいを見出していくのが指導員です。
指導員の仕事を辞めていく人はたくさんいます。少人数の職場で人間関係に苦労するなど、様々な理由があることでしょう。
お給料の安さも何とかしてほしい・・・
そうだね。子どもが好きでやりがいも感じているのに、生活のためにこの仕事を続けられない人もいると思う。
子どもたちの生活を支える学童保育の指導員が、安定した生活をおくれるように、処遇改善は大きな課題です。
さいごになりますが、辞めていった人には、所長として十分なサポートができなかったという反省もあります。
学童保育の仕事以外にも子どもの関係の仕事はたくさんあります。学童の仕事がうまくいかなくても、自分を活かせる職場はきっと見つかるはずです。
次の職場でのご活躍を祈っています。
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