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子どもたちに保障したい「豊かな体験」とは【WITHコロナ時代の子どもの行事・イベント<中編>】

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2020年1月に、新型コロナウィルスが到来して、全国で行事やイベントの中止や縮小が相次ぎました。

私の職場の学童保育所でも、夏のキャンプや秋のバザーなどが全面中止となりました。

当時は、新型コロナウィルスの情報がまだ乏しく、子どもたちの安全を考えると、中止にせざるを得ない状況でした。

しかし、その後も様々な行事が中止となり、私は、私たちの学童保育所が大切にしてきた次の2点について、今後どのように子どもたちに保障していったらいいのかを考えるようになりました。

  • コロナ禍の中で、子どもたちの豊かな「体験」をどのように保障していくのか
  • 子どもの意見を、行事の企画段階から取り入れていく活動をどのように保障していくのか

今回は、学童保育の「合宿」について、私たち指導員が、コロナ禍の中で悩みながらも、2021年の3月に実施するに至った経緯をもとに、上記2点について考えていきたいと思います。

今後も続くと思われる、「WITHコロナ時代」に、子どもの成長を中心においた生活を作るために、私たちの学童保育所の経験がお役に立てると嬉しく思います。(がってん学童所長)

所長

コロナ禍のもとでの、「行事計画や運営に関するポイント」については、前半の記事でまとめていますので、こちらもぜひ読んでみてくださいね

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【WITHコロナ時代の子どもの行事・イベント】企画・運営において「主催者」が注意すべきポイントとは

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コロナ禍で様々な行事が中止となった

2020年夏のキャンプは全面中止

指導員

こんにちは、がってん学童の指導員、りえです

指導員

指導員のたけしです!

私たちの職場の学童保育所では、2020年度は、夏のキャンプが全面中止となりました。

3月には、全国一斉休校、4月には緊急事態宣言が発令され、社会は混乱の中にありました。

それに、新型コロナウィルスや、その感染対策について、当時は今より情報が乏しかったんです。

所長

子どもたちが楽しみにしているキャンプだけど、今回は中止の判断をせざるを得ないよ

キャンプの正式な中止が決まったのは、6月末でした。

そのことを、子どもたちに伝えた時のことが印象に残っています。

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【時系列】新型コロナウィルスに関する宣言や動向のまとめ「学童保育、子ども・子育ての現場から」

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キャンプの中止を子どもたちに伝えたら・・・

これまで、学童の取り組みは、子どもたちの意見を聞きながら、子どもたちと指導員で一緒に作ることを大切にしていました。

しかし、この時ばかりは、大人の判断でした。

キャンプの中止は、所長から子どもたちに伝えられました。

所長

キャンプの中止は、責任者の僕の判断だ

僕から子どもたちに伝えるよ

所長は、子どもたちの批判や非難をあびる覚悟でした。

ところが、予想に反して・・・

・・・

・・・

・・・

ふん・・・

子どもたちは、所長に意見を言ったり不満をぶつけることはありませんでした。

所長

キャンプの中止について、言いたいことがある人は、後でもいいから僕のところに来てください

一応所長は、そのように子どもに言ったんですが、その後も、子どもが何か言いに来ることはありませんでした。

私たちは、連日のテレビ報道などによって、子どもたちの中に新型コロナウィルスに対する恐怖心があると思いました。しかし、それだけでなく、「どうせ言っても無理・・・」という子どもたちの「諦め」があるように感じたのです。

秋の行事も相次いで中止に

新型コロナウィルスがやってきて初めての夏休みを、どうにかこうにか終えて、秋になりました。

秋の恒例行事、学童のバザーも中止となりました。

高学年の子どもたちが、自分たちで考えた遊びのお店を出店して、その収益でみんなで使う遊び道具なんかを買うという、創作活動や収益活動・地域交流など様々な体験が詰まった、子どもたちが楽しみにしていた行事でした。

所長

バザーの中止は理事会の判断だよ

指導員

残念だけど、この状況では仕方がないですよね

不特定多数の地域の人たちが参加する「バザー」は、感染対策を考えると、開催は難しかったんです。

コロナ禍の中で失われた「豊かな体験」をどのように保障したらよいのか

実は、私たちの学童保育所は、年間を通して様々な行事活動を行っていました。

指導員

こんな感じです

4月入所式 1年生歓迎会
5月春の遠足
6月高学年野外炊飯
7月高学年キャンプ
8月親子キャンプ(低学年) 夏祭り
9月川遊び 卓球大会
10月秋の遠足 地域の学童祭り
11月バザー ドッジボール大会
12月おもちつき大会 
1月3年生雪遊び合宿
2月高学年合宿 昔遊び大会
3月卒所式・修了式

長年の試行錯誤の末に、各行事の内容も洗練されていて、私たちの学童の文化を形成する骨格とも言えました。

これらの行事は、「〇年生になったら、あんな取り組みができる」と、子どもたちが憧れ、成長の見通しをもつことにつながるとともに、各学年の発達に即した課題を力を合わせて達成することで、子どもたちの自信や仲間意識を育んできました。

指導員

これ、コロナ禍でほとんど全部なくなっちゃった!

子どもたちの豊かな体験がコロナ禍によって失われてしまったのです。

「豊かな体験」って何?

指導員

もうだめだ~!

こんなにも行事がなくなってしまって、子どもたちが成長できなくなっちまう!

指導員

そうかしら・・・

私はちょっとほっとしてるかも

私も最初は、たけし先生みたいに、行事による体験が失われることに、戸惑いを感じていたことは確かなんです。

だって、どの行事も当たり前のように長年続けてきたものだったし、さっきも言ったように、私たちの学童の子ども文化の要(かなめ)みたいに私自身感じていたから。

けど正直に言うと、やっぱりちょっと行事多いかもしれない、なんだか年がら年中行事に追われているようだわ、ってそんな風に感じていたのも事実なんです。

指導員

そう思いながらも、行事をやめる勇気もなくって、やったらやったで、子どもたちも保護者もすごく喜んでくれるし

しかし、コロナ禍は、2020年の前半の行事を、良くも悪くも白紙としてしまいました。「伝統」という縛りを、強制的にとっぱらっちゃったんです。

子どもたちの気持ちを考えると、

指導員

行事から解放されてすっきり!

って気にはなれなかったけど、行事から距離をおくことで、これまでとは違うゆったりとした視点で、日常のいろんな景色に気付くことができたような気がしました。(コロナ対応は本当に大変だけど)

それで思ったんです。

指導員

「豊かな体験」ってなんだろう

って・・・。

指導員

豊かな体験って言ったら、いろんな行事があることでしょ~

子どもたちに保障したい「体験」とは

指導員

そうなんだろうか・・・

色んな行事を、年間を通じてどんどこやっていくことが豊かさなんだろうか?

年間予定表を行事で埋め尽くすことが豊かさなんだろうか?

学童の生活の中で、私たちが子どもたちに保証したい「豊かな体験」ってなんだろう、ってことを私は改めて考えました。

  • たくさんの行事があること
  • 色んな場所に行くこと
  • お金をかけないとできないこと
  • 仲間と一緒に過ごすこと
  • 力を合わせて達成すること
  • 失敗や成功を分かち合うこと
  • 憧れ・憧れられること
  • 知恵を出し合うこと・工夫をすること
  • 様々な葛藤を乗り越えること
指導員

私たちは行事を通して、子どもたちにこんな経験をしてほしいと思っていました

指導員

確かに・・・

指導員

これらの経験は、行事でなくとも日常の中で保障していくことだってできるわ

このような指導員の議論から、保育時間内に、高学年がお店を出して、低学年がお客になる「バザーごっこ」を、学童の子どもたちだけで行うことになりました。

感染対策のため、3日間に分けて実施しました。高学年の子どもたち、とっても張り切っていました。低学年の子どもたちも楽しそうでした。

おもしろかった~

またやりたいよ~

指導員

工夫してやってよかったわ

ほかにも、キャンプや川遊びなどの自然の中での活動が減ったかわりに、近所に虫取りツアーやカエルとりツアーに行ったり、たくさん水槽をおいて学童の中で子どもたちが魚や水生動物と触れ合えるようにしたり、野菜の栽培をしてみたりと、色々と工夫を重ねました。

10月末には、高学年の子どもたちが仮装して低学年の子どもたちにお菓子を配る「ハロウィン・パーテー」なんかも子どもたちと一緒に行いました。

このような取り組みを行う中で、私はあることに気付きました。

指導員

大がかりな行事でない、日常の取り組みって楽しいわ

子どものふとした思い付きで始まったり、「やる・やらない」から一緒に考えて、子どもたちのアイデアや意見をもとに一緒に創っていく、そういった日々の取り組みには、これまで行ってきた伝統行事にはない、自由さや柔軟性があることを実感したんです。

もちろん、取り組みだけでなく、日々の遊びや生活の中にも、私がさっき言ったような、私たちが大切にしたい経験が、宝のように散りばめられいることに気付きました。

ある小学校の取り組みをテレビで見て

このようにして、様々な思いを抱きながら、私たちはコロナ禍で最初の秋を過ごしていました。

そんなある日のことです。

岐阜県の小学生6年生が、中止となった修学旅行の代わりに、校庭でキャンプをしたというNEWSが放送されました。クラス代表の子どもが校長室を訪れ、校長にキャンプのアイデアを直訴したということでした。

出典:日テレNEWS

子どもの思いが、大人たちを動かしたんです。

所長

これはすごいね・・・

「校庭キャンプ」の報道を見て、私は、あらためて子どもの「力」の素晴らしさを感じました。

学童のキャンプが大好きなたけし先生は、これまでこらえてきたキャンプへの思いが、再燃してしまったようでした。

指導員

俺の我慢もここまでだ~!!

(船越英一郎風)

指導員

古い!

この年、私たちの学童では、2月と3月に、3年生と高学年の二つの合宿を控えていました。

新型コロナウィルスの影響で先行きが不透明な中、開催とも中止とも言えずに、11月時点では、まだ保留にしていたんです。

冬の合宿企画について、指導員の議論が始まる

指導員

所長!僕たちも合宿をやりましょう!

所長

気持ちはわかるけど、かなり厳しい状況だよ・・・

指導員

今年度は、大きな行事ができないかわりに、日常の取り組みの中で豊かな体験を保障しようとしてきたじゃない・・・

指導員

その豊かな体験ってやつなんだけどさ

豊とか豊かじゃないとか、決めるのは僕たち大人じゃなくて、子ども自身じゃないんすか?

指導員

どういうことよ?

めずらしくたけし先生は引き下がりせんでした。

「豊か」か「豊かじゃない」かを決めるのは子ども自身だ

指導員

豊かな体験ってのは、大人が決めるんじゃない

たとえ寝転んでぼーっとしている子どもがいたとして、その子自身がそんな過ごした方を「豊か」だと思っていたら、それは豊かな体験なんだ

指導員

だから、キャンプじゃなくてもかわりに豊かな体験を保障できたらいいんじゃないの?

指導員

ちがうんだ!

冬の合宿についても、中止にして、失われた豊かな体験を代わりに保証しようとか勝手に大人が決めるのではなく、子どもたちにやりたいかどうか聞く必要があるってことなんだ

子どもの意見が大切ってことなんだ!

指導員

あ、あんた、成長したな~!

指導員

えっ?

指導員

しかし考えが甘い!

指導員

え~??

いいかしら、たけし先生、もしね、

指導員

合宿をやるかやらないか、みんなの意見を聞きたいの

やる?

やらない?

な~んて子どもたちに聞いたら、

やりたい!

やる~!

もちろん

やるに決まってるじゃん!

って、子どもたちみんなが賛成することは明らかでしょ?

その結論に、本当に大人として責任が持てるの?

意見を聞くと言っておいて、やると決まった後に状況が変わって、指導員が「やっぱりできない」というようなことにならないって言いきれるの?

今のコロナ禍の状況で、いい加減な提案はできない。安易に子どもに結論を委ねるわけにもいかない。

指導員

子どもに聞くってことは、どんな結果であれ、その意見を尊重するってことなんだよ

指導員

・・・

所長

たけし先生もりえ先生も、どちらも大切なことを言っていると思うよ

どうだろうか、まず我々が、どのような形で子どもたちに意見を求めるのかもふくめて、合宿実施の可能性をよくよく検討していみるというのは・・・。

このようにして、コロナ禍の中での合宿実施について、私たち指導員の議論がスタートしたのでした。

【WITHコロナ時代の子どもの行事・イベント<後編>】「子どもの意見を、行事の企画段階から取り入れていく活動をどのように保障していくのか」に続く

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