はじめに
「コロナだから・・・」から「コロナだけど・・・」へ!
新型コロナウィルスの登場によって、子どもにかかわる様々な施設や団体で、行事やイベントが中止を余儀なくされました。行事がなくなってしまった寂しさや悔しさを、「コロナだから・・・」と、吞み込むしかなかった子どもたちがどれほどいたことでしょう。
一方で、行事を主催する側(私たち職員)も、コロナ禍の中で、感染対策のための責任と負担を負うことになりました。子どもたちや保護者のことを想うと、開催や中止、縮小・延期などの判断は容易ではなく、時には参加者以上の悩みや苦しみを味わうこともありました。
2022年3月現在、オミクロン株が猛威を振るっています。大変残念なことに、今後も同じような厳しい状況が続くことが十分に予測されます。
しかし、希望の光もあります。それは、新型コロナウィルスが2020年1月に現れてからの2年間を経て、各現場に、コロナ禍での行事運営に関する「経験」が蓄積されていることです。
そういった経験を、各々の現場から発信し交流する活動が、今、非常に大切になっていると感じています。
今回の記事では、WITHコロナの時代に、子どもや保護者を対象とした行事を主催する立場にある人たちに向けて、現状を整理するとともに、計画段階・実施段階・終了段階の各フェーズにおける注意点をわかりやすくまとめることを試みました。
さらに、中編・後編では、コロナ禍の中で、子どもの豊かな体験や育ちをどのように保障するか、権利の主体としての子どもの意見を、行事企画の中にどのように取り入れていくのかについて、実践例をもとに、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
記事をまとめるにあたっては、私が20年以上かかわり、現在施設長を務める学童保育現場での経験をもとにしました。
この記事の内容が「コロナだけど・・・」と、子どもたちのためのより良い活動を目指している人々の力となり、そして、各職場で、WITHコロナ時代の行事の在り方についての、議論を深めるきっかけとなることを願って。(がってん学童 所長)
※文中の主語を、「指導員」や「支援員」「先生」「コーチ」など、それぞれの現場で行事を担当する方の呼称に置き換えて読み進めていただけたらと思います。
なお、この記事は、新型コロナウィルス感染症のために、行事の中止を決断した皆さんを否定するものではありません。中止にしろ開催にしろ、子どもの健康と幸福を願った皆さんのご判断を心から尊重します。
大事なことは、そんなそれぞれの判断や取り組み内容を、広く交流することだと思うんだ!
目次
新型コロナウィルスの影響で行事やイベントが相次いで中止に
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今各地で起こっていること
2020年1月に新型コロナウィルス感染症が初めて確認され、3月には全国一斉休校、そして4月には緊急事態宣言が発令されました。
それから現在に至るまで、日常生活の維持が主要なテーマとなり、修学旅行・卒業式・運動会・スポーツ大会・生活発表会・参観など、子どもたちや保護者が楽しみにしている「非日常」の催しは、中止や・縮小・延期の対象となりました。
行事の計画の際には、「感染対策」が必須となり、開催や中止の判断基準において、地域の「感染状況」が重要となりました。
これまでも野外の行事は「天候」に左右されましたが、新たに「感染状況」という中止要因を抱えることになったんですね
「不特定」「多数」「時間」「移動」がポイントに
感染対策の基本を、しっかり押さえましょう
感染対策においては、「人との接触」が重要なポイントとなります。そのため、不特定・多数の参加者を対象とした行事は、開催のハードルが非常に高くなりました。
大規模なイベントは中止となる傾向があり、私の職場の学童保育所を例にあげると、全市的なイベントや行政区単位の交流行事は中止となりました。
一方、感染対策が比較的行いやすい、普段から生活環境を共有している集団においての行事は、様々な工夫を凝らしたうえで開催可能となる場合がありました。
ともに過ごす時間と感染リスクは比例します。したがって、参加者の安全確保のために、行事の「時短」やスリム化が求められるようになりました。
「移動」の際の感染リスクも、考慮する必要があります。特に宣言発令下では、「県をまたぐ移動」が自粛の対象となり、参加のための移動手段として、公共交通機関を使う行事も、開催が困難となりました。
新型コロナウィルスが行事を「ふるい」にかけている
これらのことから、各現場では、言わば「新型コロナウィルスによって行事がふるいにかけられる」という状況が生まれました。
「人とのかかわり」「時間」「場所」において感染リスクの高い行事やイベントは排除され、比較的リスクの低い行事は、主催者の責任において感染対策を行うという前提のもとで、存続しました。
そんな中で僕たちは、これまでやってきた行事を見つめなおすことになりました
新型コロナウィルスは、「伝統」という縛りをいったんとり外し、その行事が「マスト」なのか「ベター」なのかを、考えるきっかけを作ったと言えます。
これまで毎年繰り返されてきた行事を、精査する過程で、その行事の目的や結果が鮮明になったんです。
また、中止となった行事で失われた体験を、様々な活動に置き換える工夫の中で、新しい「価値ある活動」が生み出されることになりました。
私たちの思いに反して、なくなっても、子どもたちには以外に影響がなかった行事もあったわ
行事ありきではなく、日常生活の中で、子どもたちの成長をどのように保障するのかを、以前より考えるようになったよね
コロナ禍の中で子どもの「育ち」をどのように保障していくのか
とは言え、今後も長引く思われる、WITHコロナ時代の中では、次の2点について、考える必要があると感じています。
一つ目は、「人とのかかわり」「場所」「時間」を限定的なものにする感染対策は、必然的に、子どもたちの体験の幅を狭くしているという問題です。これまで行ってきた豊かな体験や、それによって得られる子どもたちの育ちをどのように保障していくのか、というテーマは、各現場で議論を深めていかなければなりません。
この2年間は、とにかく僕たちも必死でやりくりしてきたけど、長い目で見て、「子どもの豊かな体験をどうやって保障していくのか」を考える時期がきていると思うんだ
行事企画に子どもの意見をどのようにとりいれていけばいいのか
二つ目は、権利の主体として、子どもたちが、行事に企画段階からかかわり、子どもの意見をもとに行事を創っていくような活動を、WITHコロナの時代の中で、でどのように保障していくべきか、という問題です。
これらについては、後編で皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
ここまでは、現在の状況や課題をお話ししました
いよいよ、行事の中身について、お伝えしていきます
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企画段階で求められること
これまでも、行事を計画する際には、子どもたちのけが防止や事故防止は重要なポイントでした。コロナ禍のもとでは、従来の安全管理に加えて、感染対策に留意した企画・立案が必須となりました。
感染対策は、一人ひとりの子ども(参加者)にも求められますが、そのような子どもたち(参加者)への意識づけも含めて、主催者の責任が問われています。
例えば、「子どもがやりたい」ことであっても、感染対策がとられない行事を計画することは、施設(主催者)の安全意識が低いとみなされ、ひいては、利用者(保護者)の不信を招いたり、社会の批判を浴びることにつながるという厳しい状況があります。
そのような中で、行事を企画する立場にある、私たちが押さえておくべきポイントが、いくつかあると思います。
徹底的に検討する
一番大切なことは、主催者自身が、これから行おうとする行事を「感染対策」というフィルターにかけて、厳しいセルフチェックを行うことです。
行事における感染対策については、「実施段階で求められること」の項で詳しく書いているので、そちらを参照してくださいね
私の職場では、子どもたちの行事について、以下のようなプロセスで、徹底的に検討を行いました。
step1 開催と中止以外の可能性を検討する
- 本当にその行事をやらなくてはいけないのか?
- 本当にその行事を中止にしなくてはいけないのか?
まず、主催者である私たちが、自らの判断を「疑ってみる」ことから始めます。
ここで大事なことは、「感情」を、いったん横において、客観的に考察することです。
後で述べますが、私たちや子どもたちも含めた関係者の「思い」や「願い」といった「感情」は、行事の開催や中止を決定するうえで、最も大切な要素だと私は思っています。コロナ禍が始まってからこの2年間、大変な状況の中で子どもたちの生活を支えてきたのは、そんな、人々の「思い」です。
しかし、敢えてそれら「感情」を切り離した検討を行います。
行事そのものを、冷静に客観的に見つめつつ、開催と中止の二者択一ではなくて、「分割」や「縮小」「代替」「延期」など、様々な可能性を考えてみましょう。そんな複数の選択肢を頭の片隅において、次のステップに進みます。
step2 細かく深く検討する
次に、行事を、その「目的」にまで立ち返って、改めて検討しなおしてみます。
step1と同じように、「感情」を差しはさまずに、客観的に見つめることが大切です。
- 目的(なんのためにやるのか)
- 対象(だれのためにやるのか)
- 場所(なぜその場所でやるのか)
- 日時(なぜその日程なのか)
- 内容(なぜその内容なのか)
これらを検討しなおすことの目的は、多様な行事の在り方に気付くためです。
例えば、
- 目的(その目的のためなら他のやりかたがある)
- 対象(子どもにとって大切だから、実施のために保護者参加はなしにする)
- 場所(移動のリスクをなくすために施設内で行う)
- 日時(思い切ってリスクの少ない日程に変更してみよう)
- 内容(最も必要な内容に絞って実施しよう)
などの選択肢が生まれることになります。
この行程を通過すると、行事への理解が格段に深まります。その行事の必要性や独自性を再確認できて、開催への確信が深まったり、新しい発見や発想の転換が生まれやすくなります。
また、行事への理解を深めることで、開催・中止等の判断の理由を、子どもたちや保護者にわかりやすく説明することができるようになります。
- 目的が大切だから実施する
- 場所が原因で中止
- 日程に問題があるので延期
- 内容を厳選して実施
たとえ宣言が発令されていたとしても、「GoToトラベル」で楽しむ家族の姿がテレビで報道されていたりと、子どもたちにとっては、わかりにくい、納得のいかない状況がありますよね。
逆に、宣言が発令されていなくても、近隣の感染状況が悪化している時は、中止や延期の判断が必要な時もあります。
私たちが、その行事を中止したり実施したりする理由を、政府や自治体のせいにするのではなく、私たちなりの判断の根拠を子どもたちや保護者に説明できることが大切なのです。
自分の言葉で説明しましょう
step3 様々な立場から検討する
最後に、これまで横に置いていた「感情」を、それこそ徹底的に呼び起こして、様々な立場から検討します。
- 子どもたちの「やりたい」という思い
- 職員の「やらせてあげたい」という思い
- 子どもたちの安全を「守りたい」という思い
- もし中止になった時の「残念な」思い
- 保護者の「不安な」思い
- 施設の「伝統を守りたい」思い
- 地域住民や関係者の思い
行事を開催することで生まれる「思い」や、中止になることで失われる「思い」・・・。
あの子ならどう思うだろうか、あの保護者ならどう思うだろう、それぞれの立場に立って、改めて検討します。
ここで、これまでの客観的な検討が生きてきます。step1・2を経て、私たちの中に生まれた、様々な可能性や選択肢・行事の分析結果をもとに、子どもたちや保護者にとって「最善」となる道を探りましょう。
それぞれの立場に立って、多面的に検討しましょう
全ての「思い」を叶えることは難しくても、みんなの「思い」を少しずつ取り入れた行事の在り方がきっと見つかるはず
BCP(事業継続計画)
BCP(事業継続計画)は、本来、災害やテロ、システム障害などの緊急事態に、損害を最小限に抑え、重要な事業を継続し早期復旧を図るための計画を策定することです。
コロナ禍のもとで、職場が閉鎖になったり、社員が出勤できない状況が起こる中で、改めて注目されています。
行事運営におけるBCPを企画段階で考えておくことは大切です。BCP(Business Continuity Plan)ならぬ、ECP(Event Continuity Plan)とでも言いましょうか。
具体的には、
- 平常時
- 感染拡大時
- 宣言発令時
- 臨時休校・臨時休園時・学級閉鎖時
- 参加者の中に感染者や濃厚接触者が発生した時
などの各ケースごとの選択肢をあらかじめ設定しておきます。
行事の中止や延期は、様々な関係者に影響を与えます。ECPをあらかじめ共有しておくことで、主催者・参加者ともに、見通しをもって状況の変化に対応できるようになります。
例として、以下に、学童保育所の「4年生修了式」のECPを掲載しました。
学童保育所の「4年生修了式」のECP
例年は全学年で行っているが、新型コロナウィルスの感染対策として、4年生とその保護者、職員だけでの開催としたうえで、感染状況により以下の対応とする。
平常時 | 感染対策を行い全プログラムを実施・各家庭保護者参加2名まで(45分のプログラム) |
感染拡大時 | 各家庭保護者参加1名・「歌」をなくす・修了証書授与は代表児童のみ(30分のプログラム) |
宣言発令時 | 保護者参加をなくし、子どもと職員だけで実施(30分のプログラム)※式典の様子をDVDで配布 |
臨時休所 | 中止⇒〇月〇日に延期(保育時間内に子どもと職員だけで行う)※式典の様子をDVDで配布 |
利用者・職員に感染者が出た時 | 4年生に感染者が出た場合⇒〇月〇日に延期・それ以外は「宣言発令時」の対応で実施 |
企画時点では、大まかに決めておき、当日が近づいたら、感染状況を見て、詳細を決めます
参加者との合意形成
私は、コロナ禍の中で、行事の計画や準備をするにあたって、これまで以上に、子どもたちや保護者との「合意形成」を丁寧に行う必要があると感じています。
私たちがどれほど大事だと思っている行事であっても、子どもが参加することに不安を感じていたり、「参加したくない」という気持ちがあったら、どうでしょうか。
今度の学童の遠足、参加申込書の締め切りがもうすぐなんだけど、どうするの?
面白くないと思うんだよ・・・
あら・・・(感染も怖いから今回はやめておこうかかしら)
いつもなら、子どもを後押しして「そんなこと言わずに参加しておいでよ!」と言える保護者も、コロナ禍では、子どもや家族の安全を考えると慎重にならざるを得ません。
遠足など、参加・不参加を選べる行事ならまだよいのですが、基本的に全員参加を前提とするような行事の場合はどうでしょうか。
悪くすると、その日を欠席にする、という方法しかないことになり、子どもや家族の生活に負担となります。
感染に対する不安を感じている子どもたちや保護者の心情に配慮して、不安を解消したり、子どもたちが「楽しみに当日を迎えられる」働きかけが大切です。
楽しみに当日を迎えられるようにって言っても、むやみに盛り上げるだけじゃ、不安な子がその思いを出しにくくなっちゃうかも
そうよね、不安な思いも出し合える雰囲気の中で、どうやったらその不安が安心に変わるか、考えることが大切
企画段階で、ある程度方向性が決まったら、私の職場では、保護者会の役員会で提案し、意見をもらうようにしています。
保護者の代表との間でコンセンサスがとれないようなら、全体の保護者からは、さらに様々な意見が出ることでしょう。
職員間での練り直しが必要です。
ポイントは、この時の役員会は、最終決定の場ではないということです。子どもを真ん中にして、保護者代表と率直な意見交換をすることで、職員だけでは見つけられなかった「計画の穴」や「保護者の視点」などに気付き、企画案の最終調整をすることが、提案の目的です。
役員の皆さんからもらった意見は貴重だったわ
役員会で提案する時にも、職員でしっかり検討したことが生かされました
学童の場合は、役員さんも一保護者です。不透明な状況で、子どもにかかわる結論を委ねられることにはプレッシャーを感じるはず。子どもたちのために自分たちは〇〇がやってみたい、そのためにこれだけの検討をしてきた、つきましては、保護者全体に案内する前に、役員の皆さんのご意見をきかせていただきたい、というスタンスだと、役員さんも意見が出しやすいのではないでしょうか。
保護者会や役員会などがない組織では、「実行委員会」や「検討委員会」などを立ち上げるといいでしょう。
広報・情報公開
行事の当日までに、感染対策を行っていることを積極的に情報公開していきましょう。
「感染対策」が考慮されていることが伝わり、子どもや保護者は安心感をもって参加できるようになります。
私たちが思っている以上に、子どもたちや保護者には、その行事が中止や延期になる理由が見えにくくなっています。
「中止」や「開催」「延期」など、判断の結果だけが伝わり、その裏にある職員の思いや苦労が伝わっていないのです。
準備段階で職員が苦労していること、子どもたちと一緒に感染対策について考えたこと、中止の判断をした時の職員の苦渋の思い・・・等々、を子どもたちや保護者に届けること、そういった「思い」の交流が、コロナ禍をともに過ごす中で、大切なのではないでしょうか。
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実施段階で求められること
ここでは、行事の実施段階で求められる感染対策について、箇条書きにしています。
チェックリストとしてお役立てください。
もちろんこれらは、企画段階でも考慮される事柄です
参加できない要件の周知
感染対策として、行事に参加できない事由を、事前に参加者に伝えておきます。
くれぐれも無理な参加のないように周知しましょう。
一般的なイベントの注意点ですので、子どもの行事の中で、必要な部分だけを取り入れてくださいね
事前案内の例
下記に該当する方は参加をご遠慮ください。
- 平熱を超える発熱がある
- 咳、のどの痛みなど風邪の症状がある
- だるさ(倦怠感)、息苦しさ(呼吸困難)がある
- 嗅覚や味覚の異常がある
- 体が重く感じる、疲れやすい等の症状がある
- 新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある
- 同居家族や身近な知人に感染が疑われる方がいる
- 過去14日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航又は当該在住者との濃厚接触がある
引用:「スポーツ施設利用時のご注意」高槻市ホームページ
当日は、「換気のため窓を開けますので、寒くない服装でお越しください」などの案内もあればいいですね
行事開催時の感染症対策(基本)
- 飛沫の抑制(マスク着用や大声を出さないこと)
- 手洗、手指・施設消毒
- 換気
- 来場者間の密集回避
- 飲食の制限
- 参加者の把握・管理
基本的な感染対策は、以上の6項目です
普段の生活でも同じですよね
行事開催時の感染症対策(詳しく)
以下の内容は、さらに詳しい感染対策の例です
いっぱいありま~す!
プログラムの内容
- 参加者間で一定距離が保てる内容か(3密を避ける等)
- 会場や部屋の大きさは十分か(参加者数に応じて検討)
- 歌や大声での発声等が無いか
- 飲食等を伴わないか(飲食する場合、飛沫防止パーテーション等の設置を検討)
会場の準備
- マスクや手洗い石鹸、内容に応じて、手袋や消毒液などの準備
- 体温計(非接触型)の準備
- 受付(参加者)名簿の準備
- 使用開始前に清掃と消毒・換気をする
- 椅子の配置は隣を空ける。または、可能な限り2メートルの間隔を保つ
受付
- 参加者が一度に入場しないよう入場整理
- 受付(参加者)名簿を作成し、参加者の体調確認をする
- 体調の優れない人は参加させない
- 予備のマスクを準備
- 参加人数が多い場合、入場制限などの対応をとる
プログラム中
- 開始時に、参加者の体調や様子を尋ねる
- 参加者間で一定の距離が保てているか
- 熱中症対策として適時休憩を入れる(水分補給等)。
- 運動時のマスク着用は避けられるよう工夫する
- 会場出入り口のドアや手すり、トイレなど共有部分の定期的な消毒
- 途中で、窓を開けたり、扇風機などで適宜換気
プログラム終了
- 原則、参加者でごみは持ち帰えってもらう
- 一斉に参加者が帰らないよう、時間をずらして退出
- 会場の清掃・消毒
(参考:「コロナ禍における地域行事等の開催に係るガイドラインのお知らせ」/近江八幡市ホームページ
終了段階で求められること(中止の際の心のケア)
無事に行事を終えた場合
当日は無事に終えても、その後で感染者が出ることがあるかもしれません。
「行事後に体調不良となった時には、施設に連絡をしてほしい」ことを、保護者にお願いするとともに、連絡窓口を周知しておきましょう。
無事に行事を終えた後にも、事後アンケートを行い、参加者の意見や感想を収集しておきましょう。
行事を終えた後も、数日は注意が必要です
残念ながら中止となってしまった場合
様々な工夫を凝らし、苦労して準備を整えたにもかかわらず、当日が中止となってしまうこともあります。
そんな時には、子どもたちの心のケアを丁寧に行う必要があります。
当日までの準備の中での経験や成果、頑張ってきたことなどを子どもたちに伝え、達成感を感じられるようにしましょう。
悔しい気持ちや悲しい気持ちを抑え込まずに、吐き出させることが大切です。
私もくやしいよ~!(共感)
WITHコロナ時代の行事を行う上での「必須ツール」
コロナ禍のもとでの行事活動で役に立つ4つのツールをご紹介します。
すでに導入されている職員さんや施設も多いと思います。
これらツールは、ITが苦手な保護者や家庭を知らず知らずに排除してしまうことに留意し、苦手な人には適切な支援をしたうえで活用することが大切です。
一斉メール配信システム
行事の中止や変更を、参加者に連絡するためにも、一斉配信できるシステムは必須です。
無料で様々な機能がある「マチコミメール」は、私の子どもの学校でも導入されています。
私も使っているけど、手軽で一通りの便利な機能があるので、お勧めです
オンライン会議ツール
コロナ禍で一躍有名になった、「ZOOM」をはじめとする「オンライン会議ツール」を、様々な行事へ活用している施設もありますね。
私の施設でも、懇談会や保護者会などで使っています。
まだ使っていない施設の人は、職員の「オンライン飲み会」が良い練習になりますよ
僕たちは、慣れるために何度も「飲み会」をしました
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フォーム(アンケート)
行事の際の参加アンケートや事後アンケート、企画段階の意見収集などは、「フォーム」を使えば集計の手間がかかりません。
私の職場では、Googleフォームをよく使います。
アンケート集計の手間から解放されたよね
昨年の「総括」も、Googleフォームで職員の意見を集計して活用しました
マインドマップ
マインドマップは、「思考の整理ツール」です。行事の企画段階で取り入れると、検討がスムーズに行えます。
コロナ禍で、様々な物事を検討する機会が増えている中では、活用ができるのではないでしょうか。
以下の画像は、昨年の夏のキャンプ企画を子どもたちと相談した時のものです。
その時は、ホワイトボードにこんな風な図を書いて、みんなで考えました
今後、高学年の子どもたちの話し合いで、マインドマップを取り入れたら、面白いよね
マインドマップは、各社が無料で様々なアプリを提供しています。
まだご存じない方は、マインドマップを駆使して解説している、「学童系YouTuber」いおぴいまんさんのこの動画を見てみてください。
おわりに
ここまで読んでいたただいた皆さんもお気づきの通り、WITHコロナ時代に大切なことの多くは、これまでも大切だったことなんですよね。
けど、そんな信念や確信が揺らぐほどの大きな出来事だった
僕は2年経ってようやく自分の気持ちやこれまでの出来事を整理できるようになったよ
私も必死でした。
けど今は、私たちが「大切にしたいこと」を、以前より深く感じることができている気がする
最後に、そんな大切なことを、あと二つだけお伝えして終わりますね。
みんなで考えよう
これまでお話ししてきた、コロナ禍の中での行事の計画や運営については、一人で検討することも可能です。
しかし、私は、これらのことを、職場のみんなで、知恵を出し合って考える活動が大切だと思っています。
見通しが持てない状況や混乱した状況では、時にはトップダウンが必要な場面があるかもしれませんが、こと「行事」に関しては、上から降りてきた判断に従うだけでは、職員にとって、負担を感じることになってしまいます。
開催にしろ、中止にしろ、自分たちが熟考したうえで導き出した結論として、事に当たる方が絶対にうまくいきます。
子どもと実際にかかわる職員の肌感覚を信頼して、アイデアや意見を集めることが、子どもたちや保護者、運営者にとってもより良い結果をもたらすと確信しています。
コロナ禍の行事計画は、ボトムアップが大事!
もちろん担当者に丸投げにならないようにしないといけません
「どうやったらもっと面白くなるか」を考えよう
もう一つの大切なポイントは、「どうやったらより面白くなるのか」を考えることです。
WITHコロナの時代は、子どもも大人も、様々な「ストレス」を抱えて生きています。
そんな鬱屈した局面を打開するのは、子どもとかかわる大人たちの「遊び心」そして、柔軟な発想、自由な発想、逆転の発想ではないでしょうか。
学童の指導員だから、遊び心ならまかせといて!!
コロナ禍の2年間の中で、そんな大人たちの思いが、子どもたちの豊かな生活を支えてきました。
「感染対策のみ」考えると、ほとんどすべての行事は中止となってしまいます。感染対策のためには、「何もしない」ことが最も安全だからです。
けど、子どもの現場にある人たちなら、それが難しいことはよく知っているはず
私たちは、悩みながら、子どもの安全のための感染対策と、子どもの成長と発達保障との間で、ギリギリのバランスをとるようにして、ここまでやってきました。
そしてそれは、この記事を読んでくださっている皆さんも同じではないでしょうか。
厳し状況が続きますが、これからも一緒に頑張りましょうね。
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※この記事を書くにあたって、2021年6月13日の「全国学童保育指導員学校」の全体講義で代田盛一郎先生(大阪健康福祉短期大学)がお話された内容を一部参考とさせていただきました。