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目次
6月、学校再開にあたって考えたこと
6月1日から、小学校のクラスを2班に分けての「隔日登校」が始まることになりました。15日からの、学校の全面再開に向けて、教育活動が段階的に開始されるとのことでした。
わざわざその説明のために、校長先生が学童を訪れてくれました。コロナ禍では、学童と学校の連携は、通常よりもなおさら大切となりました。校長自ら、率先して学童との連携を深めようとしてくれていることが、とても心強く感じました。
学校の方は、こんな感じです
しかし、本当に大変な状況ですなぁ
学童は、隔日登校期間は、朝からの開所となり、学校に行かない残り半分の子どもたちが出席します。午後からは、すべての子どもたちが学童で、合同で過ごすことになるため、100人近い出席児童数が見込まれました。
過去最大規模の児童数がいよいよ、本格的に学童にやってくるのです。これまで以上に、感染予防に向けた取り組みを工夫する必要がありました。
4月から自宅待機をしていて、今年度になって初めて学童に来る子どもたちもたくさんいました。
頭の中でカレンダーを2か月戻して、新年度同様の、子どもたちとの丁寧なかかわりを心掛けないといけません。
子どもたちに感染予防をどう伝えるのか、保護者にどう説明するのか、6月1日を迎えるまでに、それらをまず指導員が共有しておく必要があると思いました。
改めて学童生活の中での感染予防について、指導員で打ちあわせを行いました。
その時、私が作成し、職員に配ったマニュアルには、次のように書いてありました。
活動全般について
すべての活動において、3つの条件(換気の悪い密閉空間・多くの人が密集・近距離での会話や発声)が重なる場を避けるとともに、1つ1つの条件を避けるように配慮する。
※今年度は学童の登録児童数が非常に多いため、対応には施設的な限界があると考えるが、可能な限り、3つの条件を回避するための環境作りや取り組み方の工夫を行う。
マニュアルには、具体的な生活場面での、感染予防に関する注意点を列挙しました。
以下はその一部です。
- アルコール消毒で肌荒れをする子がいないか保護者に確認
- 学校からの来所の際に、横断歩道の信号待ちで密にならない工夫をする
- 手洗い場で順番待ちをする際に密にならない工夫をする
- 学童からのグループ帰りで、前の子どもと間隔をあけるよう声掛け
- 別の遊びを促す必要のある遊びの例
- 比較的感染リスクが低い遊びの例
- 屋外であっても密集状態の時は、入れ替え制等を検討する
- お弁当やおやつの時には、一方向を向き静かに食べる(指導員が読み聞かせを行うなど、おしゃべりをしなくても楽しく食べられる工夫をする)
- おやつは個包装のものを中心にする
- 読書スペースの入場制限が必要
- 行事を中止や延期とする場合は、子どもの心情に寄り添い、実施可能な代替え案を検討する等、諦めたり投げ出したりせずに、困難な状況を切り拓く方法を考え合う活動を大切にする。
等々、A4用紙6ページにわたり、様々な子どもの活動をシュミレーションしていきました。それを叩き台として、職員で感染対策について話しあいました。
「学童保育は、狭い空間に丸一日中子どもが密集し、なおかつ感染予防対策をしっかり行うという【ムリゲー】を丸投げされていたと言っても過言ではない」引用:学童保育研究22/日本学童保育士協会「子どもの遊びと育ちを保障する大人の役割とは」:西村美佳(名古屋学芸大学)
まさに、このように感じていましたが、それでも各地で、私たち指導員は、各々の環境に応じて、この「ムリゲー」を投げ出さずに、知恵をしぼり、アイデアを出し合い、具体的な方策を編み出す最大限の努力をしたのです。
新しい生活様式
隔日登校期間のお弁当で、問題となったのは、食後にマスクをなくす子どもが続出したことでした。おやつ後にもマスクをなくす子がいました。子どもたちも私たちも、そんなところからスタートして、一歩ずつ、マスクが必須となった「新しい生活様式」に慣れていきました。
お弁当やおやつの時に、マスク置き場を作ったらどうかしら?
感染の危険があるからその辺にはおけないもんね
けど、100人分のマスク置き場って、そんな場所ないっす
工作で、マスクケースを作ったらどうかしら?
作ってみた~い!
マスクをつけない、手洗いをしない、それぞれの「できない」には理由がある
自治体からの新型コロナウィルスに関する通知には、毎回必ず、「感染予防を徹底したうえで・・・」という文言が書かれていました。
しかし、言うは易し、現場では大変困難なことでした。
あっ、またてっちゃんマスクつけてない
忘れてた!
それぞれの性格やペース、特性を持つ子どもたちです。中には、言ってもやらない、できない子も多かったのです。そんな、ついつい忘れてしまう、言ってもできない子どもは、学校生活や家庭でも、「ちゃんとしようね」「何回言ったらわかるの?」などの言葉にさらされ続けていることは、容易に想像できました。
なぜそれができないのか、やりたくないのか、一人ひとりの「できない理由」に迫った支援をする必要がありました。
すぐにマスクを無くしてしまう子どもがいたのですが、マスクを無くしたことを責めるのではなく、無くした時は私のところに、新しいものを取りに来たらいいよ、と繰り返し教えました。そのうち、毎日私のところに新しいマスクを取りに来てくれるようになりました。その子は、私の膝の上でしばらく過ごしてから、また仲間のところに戻っていくようになりました。
マスクをもぐもぐ食べてしまう子どもや、マスクが常に唾液で汚れている子どももいました。そんな子どもにも新しいマスクをわたしました。
感染対策を一生懸命に守っている子も気になった
一方で、新しい生活様式にすっかり馴染んでいると見える子どもにも、気になるところがありました。
教師や指導員の言うことを、守ろうという意識が強く、逆に融通がつかないことが心配だったのです。
気温が上がるにつれ、学校から学童への移動も、マスクを着けたままでは一苦労です。
そんな中で、しっかりマスクをつけたまま、頬っぺたを真っ赤にして学童まで帰ってくる子がたくさんいました。
マスクを着けていると、子どもの体調の変化が読み取りにくいことも心配でした。
様子を見て、しんどそうだと感じた時は声をかけ、ベランダの日陰の、人の少ないエリアで、マスクを外して休憩をさせました。
夏が近づき、気温がさらに上がると、はっきりとマスクの危険を感じるようになりました。
メディアでも、医師や専門家が、マスク着用による熱中症のリスクを声高に叫ぶようになりました。
今度は、私たち指導員は、「暑い時、息苦しい時には、マスクを外してもいいんだよ」と、子どもたちに教えなければいけませんでした。
つけろと言ったり外せといったり、新しい生活様式は本当に大変!
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マスクに対する保護者からの様々な苦情
夏に向けて、感染者数が再び増え始めました。第2波がやってきたのです。
新型コロナウィルスに対する社会の警戒心が上昇するのを感じました。
なんで学童の子どもたちはマスク着けていないんですか?
そんなある日、お迎えに来たお母さんに呼び止められ、「なぜ、ここの学童の子どもたちはマスクをつけていないんですか?」と、厳しいお叱りを受けました。そのお母さんは、医療従事者で、マスクを外している子どもが散見される学童現場に、大きな不安を感じられたようでした。
率直にお詫びし、学童の現状を伝え、医療現場での苦労話を聞かせてもらう中で、お母さんも少しずつ落ち着きを取り戻されました。最後には、「まぁ、子どもだから仕方がないよね・・・」と言って帰っていかれました。
子どもにマスクを着けさせないでほしいんですけど!
また、ある時には、「子どもにマスクをつけさせるのをやめてほしい」と、保護者から言われたこともありました。
その保護者は、マスク着用による、様々な健康被害をまとめた資料を私に見せて、説明してくれました。
どちらも、子どもの安全と健康を願っての切実な意見だと感じました。
ひらがなが書けない1年生を見て
夏休みを目前に控えたころ、ふと1年生の宿題を見て、その子が、ひらがなをまともに書けていないことに気づきました。
例年では、5月の末ごろには、1年生も一通りのひらがなを習得して、夏休み前には、ある程度使いこなせるようになっています。子どもの学習が確実に2か月遅れていることを実感しました。
そして、この学習の遅れを、残りの1年の中で学校現場が巻き返しにかかることを想像して、暗澹たる気持ちになりました。
子どもたちの苦労、そして学校の先生たちに、この先も大変な苦労が待ち受けていると思いました。
例年よりなおさらに、学校生活とのバランスを考えた学童生活が求められると感じました。
子どもたちには学童でよっぽどゆっくりさせてやらないと・・・
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恐々と迎えた夏休み
猛暑の中ではマスク着用は危険だ、換気したままで冷房は効くのだろうか、雨の日は室内で全員が一日過ごさなくてはいけない、昨年より多い児童数で今年の夏を乗り切れるのか?
夏休みが迫るにつれて、例年にないほどのプレッシャーを感じるようになりました。
既存のクーラーを業務用のものと取り換えたり、スポットクーラーを購入したりしました。屋外には日よけのネットを張り巡らし、ミストを設置し、日中、気温の高い時間帯でも過ごせる、屋外に子どもの居場所を作りました。
自治体からの感染予防対策費用には、クーラーなどの熱中症対策に関する物品の購入は申請できませんでした。
もう少し柔軟な運用ができたら助かったのですが。
とにかく密を避ける環境を作る!作りたいけど、場所がない!なんでってこんなにも狭いから!
だってさ、小学校の感染予防マニュアルには、「子ども同士の距離は2m(最低1m)あける」って書いてあるんだけど、学童の施設基準は、一人当たり1.65mなんだもんな~
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中止となった夏休み行事のかわりに
すでに、夏の親子キャンプや、高学年キャンプは中止が決まっていました。
県をまたぐ移動、宿泊・調理などの活動、感染リスクが高い活動内容がネックとなり、あきらめざるを得ませんでした。
合宿の中止を告げた時、私は子どもたちに、「どうしても納得がいかない気持ちがある人は、先生に言いにおいで」と伝えました。一方的に大人が中止を決めた責任として、子どもの不満を受け止める覚悟をしていたのです。
しかし、その後私のところに文句を言いに来る子はいませんでした。特に高学年からは、反発を予測していのですが、それもありませんでした。
不安を感じていたこともあると思いますが、同時に、子どもたちの「どうせ言っても無駄だ」という諦めの気持ちを感じました。
そうして迎えた、夏休みの生活の中では、何か子どもたちが楽しく過ごせる工夫が必要だと思い、様々なミニ企画を立ち上げ、やりたいものに自由に参加できるようにしました。
合宿が中止になった悔しさを、さぁ、僕にぶつけるんだ!!
・・・
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新しい秋祭りの取り組み
例年10月に行っていた、秋のバザーも中止となりました。
不特定多数の地域住人が訪れることや、模擬店での飲食が問題となりました。
子どもたちがステージ発表をしたり、高学年が遊びのお店を開き、収益で学童の遊び道具を購入するなど、子どもたちが楽しみにしていた行事でした。
バザーは中止になってしまったけど、高学年の子どもが遊びのお店を開いて、低学年がお客さんになる企画をやってみないか?と、提案すると、子どもたちは大賛成してくれました。
グループに分かれて企画や準備を行い、当日は、密にならないように、3日に分けて実施しました。
修学旅行の代わりにキャンプ?小学校の取り組みを見て
様々な行事が中止になったのは、学童だけではありません。全国の子どもたちが運動会の中止や縮小、修学旅行の取りやめなどで、残念な気持ちを味わっていました。
そんな11月に、あるテレビ番組で、岐阜県の小学生6年生が、中止となった修学旅行の代わりに、校庭でキャンプをしたというNEWSが放送されました。クラス代表の子どもが校長室を訪れ、校長にキャンプのアイデアを直訴したということでした。
子どももすごいが、それを認めた大人もすごい。
私たちの学童でも、子どもたちにこんな経験をさせてあげたい!と思いました。私は、指導員で、改めて冬の合宿計画について相談をすることにしました。
子どもの意見を聞くか否か
相談したのは、合宿の開催の決定に子どもの意見を取り入れるかどうか、ということでした。
夏の合宿は、コロナ禍という特殊な状況と混乱や不安の中で、私たち大人が中止の決定をせざるを得ませんでした。
しかし、これまでは、学童の様々な活動は、子どもの意見を取り入れながら企画をしていました。今年度の冬の合宿を、再び指導員だけの考えで中止としてもいいのか、子どもと一緒に考えなくていいのか、と思ったのです。
まずは、同僚指導員の意見を聞く必要がありました。
いざ話しあってみると、指導員の中でも、様々な意見や温度差があることがわかりました。
- 先行きが不透明な状況で、もし、子どもが「やりたいと」決めた時に本当に責任を持てるのか
- 子どもを焚きつけるようなことをして、また中止で、結局はがっかりさせてしまうことになるのではないか
- 合宿は中止にして、代わりの実施可能な行事を提案したらどうか?
- 今年度の状況では、全員参加を求めるわけにはいかない、合宿に参加できる子とできない子に分断してしまうことになってしまう
- 保護者から批判を受けるのではないか、学校も学童の取り組みに不安を感じるのではないか
- 子どもに開催をゆだねることは、指導員の責任逃れではないのか、中止にして、指導員が憎まれ役となる必要があるのではないか
指導員それぞれの、熱い思いや現実的な意見が噴出し交錯しました。
それは次第に、そもそも、その行事を何のためにするのか、という本質的な議論となっていきました。
っていうか、そもそも何のために合宿をやるのか、そっから考え直さないと進まないわ!
何のための行事なのか?本質的な問い
私の学童では、行事活動が多く、年間を通じて様々な行事・取り組みを実施していました。
長年の試行錯誤の末に、各行事の内容も洗練されていて、私たちの学童の文化を形成する骨格とも言えました。
それらの行事は、「〇年生になったら、あんな取り組みができる」という、子どもの成長への見通しへつながるとともに、各学年の発達に即した課題を、力を合わせて成功させることで、子どもたちの自信や仲間意識を育んできました。
しかし、コロナ禍は、2020年の前半の行事を、良くも悪くも白紙としてしまったのです。
私たちは「伝統」という縛りをいったん取り外し、一つひとつの行事を、改めて見つめなおすことになりました。
- 誰がやりたいのか
- なんのためにやるのか
- なぜ今でないといけないのか(中止・延期ではだめか)
- その場所でないとできないのか(場所を変えて学童で実施できないか)
指導員としての意図や思いを出し合うとともに、子どもや保護者の立場に立って考えました。
保護者からの想定される批判も検討しました。
そうした議論の中で、様々なものがそぎ落とされていき、結局最後に残ったことは、「子ども自身がそれをやりたいと思ってる」という一点でした。
結局、一周まわって、私たちがこれまで大切にしてきたものにたどり着いたのです。一周回った分、私たちの確信は深まっていました。
その後も、コロナ禍のもとでの行事を立ち上げる際には、毎回、このような、様々な立場からの「ブラッシュアップ」が、非常に大切な過程となりました。
本気で意見をぶつけ合う中で、見えてくるものがある!
冬の行事活動について指導員で決めたこと
そこからさらに議論を重ねた末に、冬に予定していた二つの合宿について、基本的な進め方が決まりました。
- 3年生の合宿については、代替案として、「遠足」を子どもたちに提案する。「遠足」の行き先や内容は子どもの意見を出し合う
- 高学年合宿については、「やるかやらないか」から、子どもたちが意見を出しあう
コロナ禍の状況を踏まえ、それぞれの発達過程や議論する能力を考えて、私たち指導員が出した結論でした。
この発達に応じて、企画段階からかかわる幅を調整するという取り組み方は、その後の行事でも生かされることになりました。
例えば2021年度の夏休み行事では、
- 1・2年生・・・指導員が行先を決めて、その中でやる遊びをみんなで考える
- 3・4年生・・・指導員が実施可能な行先を複数提案し、その中から、行きたい場所を選び、活動内容を考える
- 5・6年生・・・「やるかやらないか」から子どもたちが考える
というように、学年に応じた進めかたをしました。
3・4年生はね、指導員が、3つの感染予防もできるめっちゃ楽しい企画を考えて、子どもたちにプレゼンしたんだよ
その中から、子どもが行きたい場所を選んだんだ!
本当にそれが全員の意見なのか?
大枠が決定した冬の行事でしたが、その後も一筋縄ではいきませんでした。
高学年の話し合いで、「合宿をやるかやらないか」を、子どもたちが相談していた時のことです。全員が「やる!」という意見だった、と会議を担当した指導員から報告を受けたのですが、私は疑問を感じました。
本当に、一人ひとりが本音を出し合えた話し合いだったのだろうか、「同調圧力」や、友達のために本心を抑えている子はいなかっただろうか、と思ったのです。
もちろんやる!
やるに決まってるだろ!
やらないやつなんかいないよな?
や、やります・・・
会議形式で、皆の前で意見を発表する方法では、本音が出しにくい子どもがいるかもしれない。改めて、アンケートで意見を集めることにしました。
するとやはり、「開催への不安」が出てきました。
合宿に「行きたい」気持ちは、みんな同じだったと思います。しかし、同時に、新型コロナウイルスに対して、「不安」な思いを抱えている子どももいる。
そんな一人ひとりの不安な思いを正直に出し合い、「どうやったらその不安を解消できるのかをみんなで考え合う」、子どもたちが不安と向き合うことが、合宿の成功の鍵となると感じました。
「どうしても不安な子は参加しなくてよいのでは」「不安な子はおいて、参加したい子どもだけで行っていいのか」「一人でも参加したくない子がいたら、皆行かない方がいいのか」などについても、子どもたちは話し合いました。
行く行かない以上に、お互いの思いを出し合う過程が、子どもたちにとっては大切な経験になったと思います。
私たちは、そんな子どもたちの話し合いの姿を、保護者にも伝えました。
2020年度の終わりに
予定していた日程は、新型コロナウィルスの影響で、いったん延期となりましたが、年度末ギリギリのタイミングで、合宿を実施することができました。
結局、高学年の合宿には全員が参加することになり、心配していた保護者からの反対もありませんでした。
めっちゃ楽しかった!
もう思い残すことはねぇ
3年生の遠足も大成功でした。3年生にとっては、宿泊ができなかたことは残念でしたが、子どもたちは、自分たちで考えた遠足に満足しているようでした。
それに、学童の代表の高学年たちが、コロナ禍でも合宿をしたのですから、「自分たちも、高学年になったら合宿ができるんだ!」という期待をもって新年度を迎えることできました。
一方で、冬の行事を無事に終えた後も、私たち指導員は、「もし参加した子どもの中で感染者が出たら・・・」という強い不安を、数日にわたって感じ続けることになりました。
合宿が近づくにつれて、担当する指導員が、例年をはるかに超える、大きな「精神的負担」を感じていることも見てきました。
「本当に、これでよかったのだろうか・・・」
そんな複雑な思いを引きずりながら、2020年度が幕をおろしました。
私たちは新しい年度を迎えることになりました。
コロナ禍の影響で、学童の利用が減少するという予測を裏切り、2021年度は、さらに多くの子どもたちが入所することが決まっていました。
毎年恒例で取り組む年度末の文集には、子どもたちが学童で過ごした、楽しい思い出がたくさん綴られていました。子どもの作文を読みながら、学童の1年間の営みを理解し、支えてくれた保護者をはじめ、地域の皆さんや、社会の機能を支えてくれた様々な人々に、深い感謝の気持ちを感じることになりました。
あらゆる人たちが、混乱の中で、大切なものを守ろうした1年でした。
当時私が、ここに書いたように、確信をもって、日々を過ごしていたかというと、そんなことは全くなくて、迷い、悩み、苦労や無力感ばかりを感じる日々でした。
しかし、時間をおいてこうして振り返ってみたことで、そんな混乱の中でも、子どもたちとの生活の中で大切にしてきたことが、確かにあったと感じることができました。
「【コロナ禍の学童保育】学びと再建の20201年度」に続く
参考文献:「学童保育研究21 緊急特集コロナ禍のなかの学童保育/日本学童保育士協会」「学童保育研究22 特集コロナ禍で問われた指導員の仕事の普遍性/日本学童保育士協会」「日本の学童ほいく 特集新型コロナウィルス感染症ー学童保育の生活づくり/全国学童保育連絡協議会」