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発達劇場「だんちゃんとかっちゃんの巻」
むかしむかし、あるところに、発達段階のだんちゃんが生まれました。
だんちゃんを生んだのは、えらーい発達心理学者さんたちでした。
だんちゃんを生んだ学者さんによって、だんちゃんはそれぞれ違います。
だんちゃんは、人の発達をいくつかの時期にわけて、その時期の特徴を言うことができました。
たとえば、「幼児期にはこんなことができるようになるんだよ~」ってことを教えてくれます。
だんちゃんは、みんなの人気者になりました。
だんちゃんはいつも言っていました。「個人差あるけどね~」って・・・。
ところが、だんちゃんが有名になると、「こんなことできるようになるんだよ~」のことを、「こんなことができるようにならないといけないんだ」と思ってしまう人がでてきました。
そんな人たちには、だんちゃんの「個人差あるけどね~」という言葉は、届きませんでした。
そのうち、だんちゃんのことを「誤解をされやすいやつ」「使いづらいやつ」と思う人もでてきました。
そんな人たちが、発達過程のかっちゃんを連れてきました。
かっちゃんは、だんちゃんに似ているけど、なめらかな印象で、誤解されにくい便利な子でした。
そんなあたりさわりのないかっちゃんは、「保育所保育指針」に採用されました。
だんちゃんは、ちょっとさびしかった・・・。
悲しそうなだんちゃんを見た、優しい学童の人が、だんちゃんを「放課後児童クラブ運営指針」に採用しました。
「放課後児童クラブ運営指針」には、かっちゃんも出ているんだよ。
よかったね!だんちゃん、かっちゃん!!
以上で、発達劇場を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
これが、発達段階と発達過程の違いだよ!
みんな、わかったか・・・
わかるか~!!
なんやねん!この適当なストーリー!!
「発達段階」と「発達過程」の意味の違い、説明できる?
じゃぁ先輩は、発達段階と発達過程がどう違うのか、言えるんすか?
やだ~!
そんなの言えるにきまってるじゃん
っていうか、何でそんなに違いが気になってるわけ?
実は、運営指針を読んでて
放課後児童クラブ運営指針の第2章「事業の対象となる子どもの発達」の冒頭の文章なんすけど・・・
「発達の特徴」と「発達の個人差」は意味はわかるんです。
けど、発達段階と発達過程の違いがよくわからなくて。
正確に言うと、2行目に出てくる「発達段階」が「発達過程」でも別にいいんじゃないかな~って思ったんす。
そんで調べていると、「保育所保育指針」では「発達段階」って言葉は出てなくて、運営指針には出ているし、ますます意味の違いが気になって調べたんです。
そしたら、発達段階はいろんな本やサイトに載ってたんです。。
けど、発達過程の説明ってどこにも載ってないんっすよね・・・。
どっちも同じようなところで同じような使われ方をしているんですけど・・・
なかなかいいところに気付いたわね~
(私はそんなこと気にしたことなかったわ・・・)
「発達段階」とは
発達段階の意味は知っているのよね
発達段階(stages of development)
発達において、一定の特徴が見られる年齢時期を、いくつかの段階に区分し、その段階ごとの特徴を整理したもの。
「放課後児童クラブ運営指針解説書」(厚生労働省編)では、次のように解説されているわよ。
「人間の生活は同じことの繰り返しに見えて、実は日々変化しています。その変化を、年齢によっておおまかに捉えると、胎児期、乳児期、幼児期、児童期、思春期・青年期、壮年期、中年期、老年期というように時期区分することができます。子どもは、いくつかの時期を経て大人になっていきますが、それぞれの時期は次の時期の単なる準備段階ではなく、子どもにとって固有の意味と価値を持ちます。」
この、胎児期・乳児期・幼児期・・・などが発達段階なんだね
発達段階の区分は、それぞれの研究者によって様々な説があるし、何を基準にするのかによっても異なるのよ。
ピアジェは、認知(ものごとのとらえかたや理解のしかた)を大きく4つの発達段階に分けました。
ハヴィガーストは生涯を6つの発達段階に分け、それぞれの段階における発達課題を示したし、エリクソンは心理社会的な発達を8つの発達段階に分けた「ライフサイクル論」を唱えました。
発達段階は、学校制度や社会、時代の移り変わりによっても変化します。
現在の発達心理学では一般的に次の表のように区分されているよ
区分 | 時期 |
胎児期 | 受精~出生まで |
乳児期 | 出生から1歳まで(生後28日未満を特に新生児期という) |
幼児期 | 1歳~6歳(就学まで) |
児童期(学童期) | 6歳(小学校入学)~12歳(小学校卒業) |
青年期 | 12歳前後~22歳ごろ(中学生・高校生・大学生) |
成人期 | 22歳~65歳前後(経済的自立以降) |
老年期 | 65歳ごろ以降(職業からの引退以降) |
「発達過程」とは
次に発達過程の意味だけど・・・
発達過程(developmental process)
発達の過程
ってことになります!
なんっすか?
その説明?
おほほ・・・
だって、発達過程って言ったら、発達の過程としか言えないわよ
たしかに、たけし先生が疑問に感じたように、「発達過程」ってちょっとつかみどころのない言葉よね。
ここは、所長に聞いてみよう!
「発達段階をふまえた子どもとのかかわり」と「発達過程をふまえた子どもとのかかわり」の違い
え?
発達段階と発達過程の違い?
「発達段階」って言ったら、発達心理学用語だよね。
「発達過程」は、発達の過程だよ。
もちょっと詳しくお願いしまっす
同じような場面で使うことも多いけど、伝わるニュアンスは違うよね
例えば、
①発達段階をふまえた子どもとのかかわり
②発達過程をふまえた子どもとのかかわり
って二つの文の場合、①は、「発達心理学の理論である発達段階の時期区分をふまえた子どもとのかかわり」という意味になるし、②は、「発達段階を理解したうえで、1人ひとりの子どもの状態に応じたかかわり」って意味になるんじゃないかな。
あえて言うなら、「発達段階」は理論重視、「発達過程」は支援の対象重視の言葉ってことになるかもしれないね。
あっ!今ちょっとピタッときたかも・・・
発達段階は時期区分重視、発達過程は連続性重視
発達段階は時期区分重視、発達過程は連続性重視の言葉とも言えるかも
人の発達は、連続した過程なんだよ。ある日を境に、乳児が突然幼児に変わるわけじゃない。
発達段階は理論重視、発達過程は支援の対象重視
発達は連続した過程なんだけど、発達の速度は個人差が大きいし、同じ人でも体や心のある部分とある部分では発達のスピードが違うんだよ。
そんでもって、行ったり戻ったりもしながらちょっとずつ発達は進んでいくんだ。
てっちゃんとさっちゃんで発達過程が違うんだね!
そうなんだよ。学童に50人の子ども達がいたら、50通りの発達過程があると考えるんだ。
「発達過程を踏まえて子どもとかかわる」と言ったら、学年とか年齢とかの時期区分よりも、一人ひとりの心身の状態に着目してかかわるってことになるんだよ。
そこで登場するのが、発達段階という物差しなのさ
ものさし?
うん。一つの基準だよね。
発達段階は、一人ひとりの発達過程の状態を理解するうえで、とっても役に立つ物差しなんだ。
子どもを物差しに無理にあてはめたり、物差し通りじゃいけない!って思うのは、発達段階の間違った使い方なんだよ。
「発達段階」を使う時は注意が必要
運営指針では、「児童期」の発達段階の特徴を、さらに3つの時期に区分して、子どもとのかかわりの配慮事項を書いているよね
低学年(1・2年生)、中学年(3・4年生)、高学年(5・6年生)の区分ですね
こんな風に、発達の特徴を細かく分けるような時には、「発達段階」って言い方はあまりしないね。
運営指針でも、「低学年の発達段階」とは言ってないよ。
発達段階は、発達心理学の理論と結びついているから、使う時には、だれの?どの?っていうような根拠を想起させる言葉でもあるんだ。
現場で使う時には注意が必要な言葉ではあるよね。
そう言われたら私も、懇談会なんかでは、発達段階って言葉は使わないわね
まとめ
いかがだったでしょうか。
「発達段階」は発達心理学の理論に基づいた用語で、「発達過程」は、単に発達の過程を表す言葉なんですね。
同じような場面で使われることもあるけど、それぞれの言葉の持つ意味やイメージを考えて、上手に使い分けてくださいね。
- 「発達段階」は時期区分重視
- 「発達過程」は連続性重視
- 「発達段階」は理論重視
- 「発達過程」は支援の対象重視
- 「発達段階」を使う時は注意が必要
みなさんは、発達段階と発達過程の違い、どんなふうに説明しますか?
たけし先生の疑問の、保育所保育指針には「発達段階」が登場しないけど、運営指針には登場するってやつ
興味深いよ
放課後児童クラブ運営指針の第2章は、色々な発達の用語が登場するけど、作成した人々がどのような意図でその言葉を使ったのかを想像しながら読むと、とっても面白いんです。
この記事をきっかけに、読者の皆様が、「放課後児童クラブ運営指針」や子どもの発達に関心を深めていただけると嬉しいです。
では、また次の記事でお会いしましょう!
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参考文献:「改訂版放課後児童クラブ運営指針解説書」/厚生労働省編 「子育て支援用語集」/同文書院 「テキスト保育の心理学」/ユーキャン