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【学童保育】不登校の子どもが学童へ通うことはできますか?

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支援員

この記事は3分で読めます。


その日、私は事務作業のため、いつもより早く出勤しようと、車で学童に向かっていました。

すると私の携帯電話に着信がありました。朝の8時半でした。

電話

トゥルルル、トゥルルル・・・

所長

はい。

電話

朝早くにすいません。子どもが学校に行けなくて。今日はどうしても仕事が休めないんです。朝から学童で見てもらうことはできないでしょうか!

電話は、さっちゃんのお母さんからでした。今日は平日で朝から学校がある日ですが、さっちゃんが小学校に行けないとのこと。

お母さんはどうしても出勤しなくてはいけなくて、さっちゃんが家で一人になってしまう、心配な状況です。

最近、朝布団から出られず、遅れて登校したり、学校までお母さんが送っていく日があったりすることはお母さんから聞いていたのですが、学童では元気に過ごしているさっちゃんでした。

私は、電話口調に切迫したものを感じ、お母さんのことも心配になりました。

所長

お母さん、今から様子を見に行っていいですか。家に向かいます。

ちょうど学童の近くにいたこともあり、そのまま、さっちゃんの家に向かうことにしました。

学童保育は不登校の受け皿となるのか

放課後児童クラブ運営指針には、放課後児童健全育成事業(学童保育)の事業の目的として、以下のように記されています。

放課後児童健全育成事業は、小学校に就学している子どもであって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活を与え、子どもの状況や発達段階を踏まえながら、その健全な育成を図る事業である。

所長

学童保育で子どもが過ごすのは、「放課後(授業の終了後)」なんです。

そういった中で、授業のある平日の午前中から子どもを学童で受け入れてほしいとの保護者からの要望については、どのような対応をすべきなのでしょうか。

(さっちゃんは、普段は学校に通っていて、時々行き渋りがある状態です。)

※私の職場は平日午前中から開所していますが、午後から開設の学童が多くあるなど、学童保育所の開設時間は地域によって違います。

学童保育が不登校の子どもを受け入れている事例もある

実際に、不登校の子どもを受け入れている学童もあります。(参考記事:2022年東洋経済ONLINE『4年間「不登校の双子」が学童保育でつかんだ宝物』)この記事の結びには、「学童もまた、不登校の子どもたちを支援できるひとつの社会資源なのだ」と書かれています。

私の職場の近隣の学童保育所でも、不登校の子どもが学童保育所へ「登校」していた事例がありました。

私はその学童の所長(元学校長)の言葉を大切にしています。

学童で不登校の子どもを受け入れることは選択肢としてはありです。しかし、学校・学童・家庭の連携は必ず必要です。

その所長には、学校に行けない子どもを2年間学童で受け入れた経験がありました。担任の先生が学童に課題のプリントを持ってきたり、学童を舞台に子どもと教員のかかわりや、指導員・教員・保護者の連携などがあったそうです。

その所長の言葉は同時に、「学校・学童・家庭との連携がない受け入れは、問題解決につながらない場合がある」ということも示唆していました。

つまり、「学校に行けない」不登校の問題への対応については、まず学校が動くわけなのですが、その動きと関係なく、家庭と学童の合意のみで「学童登校」が進められた時、学校の対応を無効にしてしまう恐れがあるということです。この点には注意が必要だと感じました。

  • 「学校に行けなくても学童で見てもらえる」という安心感が、学校に通おうという親子の意思を奪ってしまう場合がある。

というリスクを認識した上で、

  • それでも「学童登校」がその子どもにとって「最善」であるケースもある。

という可能性について、子どもの思いを踏まえて、保護者・担任・指導員の三者でしっかりと検討した上での対応が必要だと思いました。

学童での受け入れは、慎重に行う必要があるでしょう。

もちろんこれには、午前中から学童保育所が開所しているという、開設時間や職員の勤務時間との兼ね合いもあると思います。

学校の対応に保護者が不満を抱えているケースも

私の経験では、そもそも不登校の原因が「担任の先生と折り合いが悪い」場合や、学校の対応に保護者が不満を抱えていることが、保護者との相談で伝わってくることがあります。

保護者からしたら、学童の指導員が相談しやすい相手になっている場合です。

所長

お母さんから言いにくいなら、私から担任の先生に伝えてあげますよ。

そういったケースこそ、指導員が軸となり、学校・家庭の連携を作ることができるチャンスであるかもしれません。

学校側からしても、学童の指導員からの情報を通じて、よりよい対応や対応の修正を考えることにつながるでしょう。

※学校と連携をする上では、保護者の了承を取る必要があります。

さいごに・・・(その時私がとった対応は)

・・・私は、出勤前に、さっちゃんの家に向かいました。

所長

おはようございます。

あ、所長だ!

お母さんは、私が来たことで少し落ち着きを取り戻されたようでした。さっちゃんも落ち着いていたので安心しました。

お母さんは、仕事を休めず、帰りはどうしても17時以降になるとのこと。さっちゃんはその間留守番をする覚悟をしており、自信もあるようでした。

ただ、お母さんは、日中長時間、さっちゃんを家で一人にすることに大きな不安を感じているようでした。

お母さんには、安易に学童でさっちゃんを受けいれることのデメリットを正直に話し、学校の先生とも話し合うことの必要性を伝えました。

お母さんは納得されたようですが、それでもやはり、さっちゃんを置いて働きに行かなければならないことに、不安や後ろめたさを感じている様子でした。

所長

じゃあ、こうしませんか?

お母さんと相談して、さっちゃんは13時まで家で過ごし、そのあと私が家に迎えに来て一緒に学童に行くことになりました。もしさっちゃんが困ったことがあったり不安でどうしようもなくなったら、学童に電話をかけたらいいよ、とさっちゃんにも伝えました。

その日は、学校から学童に子どもたちが帰ってくるのが13時30分ごろになるので、この方法なら、学校から帰ってきた他の子どもたちから、

なんでさっちゃん学校休んでたのに学童にいるんだよ!

さっちゃん、ずるいよ・・・

などと言われることも少ないだろう、との配慮もありました。

さっちゃんは、午前中は家で無事に過ごし、午後からは学童へ、翌日からは学校に行くことができました。

今思うと、この日はお母さんにとっても、絶体絶命大ピンチのような状況だったのかもしれません。

私が、朝かかってきたお母さんの電話から感じたのは、この電話は、お母さんが頼れるところから全て断られた後の、最後の頼みの綱かもしれない、という直感でした。

そんな時に私を、学童を頼ってもらえて良かったと思いました。

その後も、さっちゃんは何度か学校への行き渋りがあったのですが、この日以外はお母さんが対応されたようです。

(おわり)

<不登校でお困りの保護者の皆様へ>

この記事は、「普段学童保育を利用している子どもが不登校になった場合の対応」について書きました。また、記事の対応は一例であり、学童による不登校の子どもの対応には、様々なケースが考えられます。午後から開所の学童も多く、学童の開所時間や指導員の勤務体制等の問題により、すべての学童で対応が可能な状況ではないことをお知りおきください。

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