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はじめに
「高学年保育があなたの学童の命運を握る」この記事のタイトルは決して大げさではありません。
これは、私がこれまで20年にわたり、学童で高学年の子どもたちと過ごしてきた経験から実感していることです。
- 何年生まで学童保育を利用しようか迷っている(保護者)
- 高学年保育にはどんな課題があるのか知りたい(保護者)
- 高学年は留守番できるのだから学童は必要ないと思っている
- 高学年が落ち着かないので大変だ
- 高学年が言うことを聞かない
- 高学年保育の取り組み内容がわからない
- 高学年の子どもにとってよりよい生活内容を模索している
これらの問いのいずれか一つでも、あてはまる指導員・保護者の皆さんには、ぜひこの記事を読んでいただきたいと思います。
この記事を書いている人
がってん学童所長です
私は、高学年保育が制度化される2015年以前から、保護者運営の学童保育所で高学年保育に取り組んできました。また、その後異動した民営の学童保育所でも、制度に先駆けて高学年保育が実施されていたため、高学年の子どもにとって学童保育がどうあるべきか、悩みつつ試行錯誤を繰り返してきました。今回の記事は、そんな私や私の仲間の指導員の経験をもとに書いています。
「高学年保育があなたの学童の命運を握る」その分かれ目となるのは、たった一つの事実です
高学年の子どもたちにとって、学童保育が「行きたい場所」になっているかどうか
この記事の内容
- 高学年保育の幕開け
- 高学年保育の黎明期
- 問題となった高学年の姿
- 新制度開始から6年が経過した今
- 目指すべき高学年保育とは?
【後編】では、具体的な高学年保育の取り組み内容をお伝えします
- 高学年保育の目標
- 高学年保育の年間計画
- 高学年保育の保護者協力
- 高学年保育の工夫
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高学年保育の幕開け
10年前は、自治体や施設によって違いはあれど、学童保育を利用できるのは、1年生から3年生までの低学年というのが一般的でした。
この頃は、学童保育は、1~3年生までの居場所であり、指導員にとっては、低学年の子どもたちの成長をいかに保障するかが課題でした。
学童保育の遊びや生活を通して、仲間とのつながりを深め、生活力を身につけ、学童を卒所した4年生の春から、「子どもたちが自分の力で放課後を過ごせるようになること」が、親と指導員の共通の目標だったんです。
4年生からは、1人で「留守番」できるようになろう!ってことですね。
2015年に、児童福祉法が改正され、学童保育の対象が、6年生までの子どもたちに拡大されました。
高学年保育の正式な幕開けです。
この時、私たち学童保育現場は、一つの難題を突き付けられたことになります。
学童の生活の中で、1年生から6年生までの子どもたちの成長を、どのように保証していくのか?
高学年保育の黎明期
制度として、学童保育の高学年受け入れが始まりましたが、多くの現場には、高学年の子ども達を含んだ放課後の生活づくりや、高学年を対象とした保育内容などがありませんでした。
当時、指導員が持っていたのは、3年生までの子どもたちに向けた実践内容だったのです・・・。
まず問題となったのは、学童のリーダーをどうするか。
これまで3年生がリーダーだったんだけど、高学年が学童のリーダーになるの?
じゃぁ、3年生の役割は?
さらには「卒所」の問題。
年度末の「3年生卒所式」は廃止?
じゃぁ、6年生で卒所式?
指導員にとっても親にとっても、「3年生卒所」というこれまでの目標が煙のように消えてしまったのです。
現場では、「4年生以上をリーダーとして、3年生はサブリーダーと呼びかたを変える」や、「卒所式を修了式と改める」など、様々なアイデアを出し合い、保育内容の改編を試みました。
しかし実際には、高学年の子どもが学童に帰ってくる時間は遅く、部活動や委員会活動、習い事などで出席もまばらな実態があり、
長期休み以外の放課後の生活では、高学年の子どもがリーダーシップを発揮することが難しいという現実や、
6年生で「卒所式」を行うとしても、6年生まで残る子どもが何人いるのか?という疑問があり、
そんな矛盾を抱えながら、試行錯誤が繰り返されました。
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問題となった高学年の子どもたちの姿
次のような子どもたちの姿も問題となりました。
1年がうぜぇ!
などと乱暴なことを言って、自分勝手な高学年や、
指導員キモイ!
と、反抗的な高学年。その一方で、
留守番なんてしたことないよ~
なんていう、いつまでたっても頼りない高学年。
高学年同士のトラブルが頻発、新人指導員の言うことは聞かないし、高学年と信頼関係のあるベテラン指導員は、手のかかる低学年の対応でいっぱいいっぱい・・・。
結果的に、低学年より圧倒的に人数が少ない一部の高学年に、学童が引っ掻き回されてしまう事態も。
しかも思春期の高学年は、低学年と違って、言うことは強烈、体は大きく力も強いので、指導員にとっては悩みの種に。
高学年なんだから、家で過ごせるじゃん
と思ったところで、高学年の子どもは、
俺だってこんなトコ来たくねぇ!親が行けって言うから仕方なく来てやってるんだよ!
なんて言っている・・・。当時、こんな話を耳にすることがありました。
高学年の子どもの側からすると
この状況を、今度は高学年の子どもの立場から考えてみると、
長い授業時間を終えて学童に帰ってきたら、低学年がわんさかいる。
遊び道具やマンガは先に返った低学年が独占。
指導員も低学年の対応でゆとりがない。自分のことは見てくれない。
挙句の果てに、
低学年に優しくしてよね
とか、
高学年でしょ!
みたいなことを言われる。
こんなだから、まわりの高学年は次々と辞めていくし、学童に行っても遊び相手は低学年しかいない。ますます学童がつまらなくなるという悪循環。
しかし親は「行け」と言うので仕方なく来ている・・・。
自分の欲求が満たされてもいないのに、人の世話なんかできるか!
という気持ちに子どもがなっても仕方がないと私は思いました。
高学年の子どもたちは素晴らしい力を持っているのに学童で発揮されていない・・・
何とかしなければ
「新制度」開始から6年が経過した今
それから、6年が経過し、今では学童保育を利用する、4~6年生の高学年の子どもたちが、全体の2割を占めるようになりました。
2020年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(2020年7 月 1 日現在)
全国の登録児童数の推移でみると、2014年が933,535人、2020年が1,305,420人(全国学童保育連絡協議会の実態調査より)。
ここ6年間の登録児童数の増加数は、37.1万人。
2020年の4~6年生の利用が25.6万人なので、2015年の法改正以降に増加した学童保育を利用する子どもに占める、高学年の割合が非常に高いことがわかります。
では、この5年で、高学年保育の実践は積み上げられたのでしょうか?
私の実感では、試行錯誤の末、高学年保育が一定軌道に乗ったという学童と、いまだに悩みを抱えている学童に二極化しており、その格差が拡がっているという印象です・・・。
学童の利用児童が全国的に増加しており、学童保育の大規模化が進んでいる現場では、続々と入所する1年生の対応で現場は手一杯となっており、低学年の中にも特別な配慮を要する子どもが増えている実態があります。
高学年保育を充実したいけど、その余力がないわ・・・
「全国研」や「指導員学校」、「学童保育士協会の研究会」など「高学年保育」を専門に取り扱った分科会で実践の交流が行われているとはいえ、このような学びの機会が保障されている指導員は少数。
行政研修や放課後児童支援員認定資格研修では、高学年の発達段階などに触れられるが、具体的な保育内容を学べることはほとんどない。
結局、何をしたらいいのかわからない・・・
制度として高学年の受け入れが始まって6年が経過した今も、限りある施設環境や職員体制の中で、発達段階の大きく違う1~6年生の子どもたちを、低学年中心の内容で一くくりにした保育を行わざるをえない施設が多くあると感じています。
目指すべき高学年保育とは?
さて、いよいよここからが本題、
ではどうすれば・・・?
という話です。
冒頭で述べたように、私はこれまでの経験から、
高学年の子どもたちにとって、学童保育が「行きたい場所」になっているかどうか
が、大切だと考えています。
もう少し言うと、
低学年にとっては、学童保育は「行かなければならない場所」であるけれど、
高学年にとっては、学童保育は「行きたいから行く場所」であるべきだ、ということです。
(もちろん、低学年だって学童が来たいと思える場所になるように、指導員は頑張っているのですが)
なぜなら、高学年は、やろうと思えば家で留守番したり、仲間と地域で過ごすことができます。
そして、親や指導員が子どもの「意思」を尊重することが大切な年齢だから。
それでは困るわ!
と思った保護者の皆さん、では、高学年で学童に通う子どもたちは、いつどこで自立するのでしょうか。
親の安心のために、行きたくない場所に高学年の子どもを通わせることが本当に良いことなのでしょうか?
高学年生活の次には中学校生活がやってきます。
私は、高学年は、中学校生活に向けた準備をするとても大切な期間だと考えています。
- 低学年⇒高学年生活に向けた準備期間
- 高学年⇒中学校生活に向けた準備期間
このように考えておかないと、中学生になった時に困るのは子どもたちです。
子どもの意思を尊重し、自分の意思で決定できる時間や場所を拡げ、その中で、挑戦や失敗を重ねて成長していくのが高学年時代です。親や指導員は、子どもを信頼して任せること、そして見守ることが大切です。
たとえば、私の学童では、5・6年生の子どもたちは、土曜日や夏休みは、自転車で学童に来ることができます。
学童帰りに自転車で習い事に行くこともできます。
中学校生活に向けて、地域で生活する力を身につけて欲しいからです。
高学年は低学年の成長のモデルとなる
「学童に来たい」と思ってやってくる高学年たちが、「高学年としての豊かな放課後」を過ごしている様子を、低学年の子どもたちは見ています。
俺も高学年になったら・・・
私も高学年になったら・・・
高学年の子どもたちが活き活きと生活している姿は、低学年の憧れとなり、身近な「成長のモデル」となるのです。
私たちはしっかりと認識しておくべきです。たった2割の高学年の存在が、残りの学童保育の8割の低学年に与える影響は、良くも悪くも大きいという事実を。
「高学年保育があなたの学童の命運を握る!」
(後編に続く)
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