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学童保育にも影響がある、日本が目指す未来社会「ソサエティ5.0」とは
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がってん学童保育所の指導員りえです。
昨日、小学校の元校長の「仮所長」から、2020年度の学習指導要領改訂にかかわる、「ソサエティ5.0」についての講義がありました。
AI、IoT、ロボット、イノベーションなどがキーワードとなる、日本が目指す未来社会「ソサエティ5.0」は、情報化社会(ソサエティ4.0)の次に来る「超スマート社会」だそうです。

小学校からプログラミングを学んで、未来社会を担う人材を育てねばならん!

講義の中で、私たちは、政府広報の「すぐそこの未来」というソサエティ5.0のイメージ動画を見たんです。
ドローン宅配や、遠隔診療、AI家電や会計クラウドなどによって、すごく便利な生活が実現した未来社会のお話でした。
そして、仮所長が、「この動画には、学童保育の未来にも通じる、重要なポイントがあるのじゃ!それを明日までに考えておけ!」と、私たちに宿題を出したのでした。


では、宿題の答えを聞かせてもらおうか
私とたけし先生は、仮所長に負けたくなくて、昨日、あれやこれやと相談して、たどりついた答えを伝えました。

はい!動画の中で、AI家電の冷蔵庫が「朝ごはんにスムージーはいかがですか?」って上白石萌音ちゃんに聞くシーンがありました。「なんで冷蔵庫に朝ごはんを決められなあかんねん!」が、おいらたちの答えです!

むむむ・・・
学童では、子ども達にあまり指示しないで「自分で考えること」を大切にしているでしょ。便利なのはすごく助かるけど、メニューを考えたり悩んだりすることって、それはきっと大切なことだと思うんです。うまく言えないけど、AI家電に甘えてしまって、自分で考えることがめんどくさくなってしまうのが怖いというか・・・。

それと、おいらは朝ごはんは味噌汁が好きです!
たけし先生はお祖母ちゃんっ子だから。お味噌汁って家庭の味でしょ。動画の中で描かれていた未来社会は、とても便利だけど、「家族」のつながりが感じられなくてちょっと寂しかったんです。ひょっとしたら、家族のありかたや人と人との関係も「スマート社会」の中では色々と変わってしまうんじゃないかと思ってしまいました。

か~っ!どれだけの知能が結集してAIが開発されているのかわかっておるのか!!

そうなんです。小学校からプログラミングの勉強を苦労して頑張るのが、「考えなくてよい社会」のためだっていうのがなんだか不思議です

考えなくてよいというのは言いすぎじゃ。しかし、確かに、お前たちのような呑気な人間はAIに支配されてしまうかもしれんな。
仮所長が言うには、すでに、AIによる犯罪予測がアメリカや日本で導入されたり、児童虐待の対応にAIを使うシステムが開発されたり、AIの分析を「いじめ」の指導に活かす試みが教育委員会でも行われているのだそうです。

早晩、学童のけんかやトラブルの解決にAIが導入される日がやってくるぞ。
「AIによる最適提案は怖いぞえ。ぶつかりを通して学ぶことの価値や、じっくり話し合うことの大切さや、失敗したり遠回りする中で育まれるものや、おしゃべりをしておやつを食べる時間や、上下ない呼び捨ての子ども同士の関係なんぞ・・・」

AI以前にこのわしが否定してやるわ!

ひ~!

「超スマート社会」ソサエティ5.0の中では、AIやIoTによって、世界中の人々が恩恵を受けることになるでしょう。犯罪予防や虐待防止にAI技術が応用されることによって、救われる命があるかもしれません。だから、ソサエティ5.0は、今より素晴らしい社会なんです。
けど、なんだろう、このちょっと不安な感じ。私が時代の変化についていけていないのかしら。
そう言えば、仮所長が、「学習指導要領の改訂は、ソサエティ5.0を担う人材育成のためなんじゃ!」って言っていたけど、教育とか保育って、人材育成とはちょっと違うんじゃないだろうか。
超強引な仮所長の講義でしたが、なんだか色々と考えさせられてしまいました。

ところで、私たちの答え、結局正解だったんでしょうか?

未来社会について考えることが宿題じゃ!正解・不正解の問題ではないわ!
だそうです。

しかし、敵にとって不足はないとみた。明日からが本気じゃ。
がってん学童保育所は、わしが立て直してやろう!
「覚悟しておくのじゃぞ~!ふぉっふぉっふぉっ・・・」と、笑いながら仮所長は去っていきました。
明日が怖すぎて今晩は眠れそうにありません。