学童保育の「大規模問題」について解説する、シリーズ第2弾です。
目次
新着記事
学童保育指導員になりたいないなら
スポンサーリンク
年間休日120日以上!
ほとんど残業なし!
無理なく働ける学童保育所を探すなら「はじめての学童保育指導員」簡単30秒登録!
こんにちは、がってん学童所長です。
支援員のたけしっす!
支援員のりえです。今回はスペシャルゲストです。
今回は、学童保育が抱える最も深刻な課題の一つである「大規模問題」の続編です。
まだ前編をお読みでない方はこちらから見てください。
こちらもCHECK
-
【学童保育の大規模問題】大規模学童の実態・負のスパイラルとは?問題をわかりやすく図説!
続きを見る
大規模学童保護者の心境とは
前回の記事の途中で、大規模学童を利用する保護者の方が飛び入り参加してきました。
親の立場からも一言いいでしょうか?
ふみかちゃんのお母さん!
もちろんですとも。
よろしくお願いします!!
ふみかちゃんのお母さんは、りえ先生が勤める大規模学童の利用者ということです。
前回の記事では支援員の立場からの問題点をお伝えしましたが、保護者としてはどのようにこの問題を感じているのでしょうか。
学童の先生と信頼関係が築けない
娘が学童を利用し始めたのは4年前ですが、登録児童数はずっと増え続けています。
私たち親が働くことができるのは、自分に代わって子どもをみてくれる学童があるからです。
学童に娘が楽しく通ってくれているから、そして、信頼できる支援員の先生がいるから、安心して働き続けることができるんです。
そのとおり!
?
しかし、学童が大規模化していく中で、先生方の余裕のなさが伝わってきます。気軽に相談できる、という雰囲気ではありません。
それどころか、支援員がコロコロ入れ替わったりして、新しく入った先生は、ふみかの名前をおぼえていなかったり、私も先生の名前をおぼえられなかったり、そのような状況では、親は支援員に信頼を寄せることが難しいです。
すみません・・・。
りえ先生は別です。大変な中で踏ん張っていただいて感謝しています。
高学年だって堂々と学童を利用したい
うちの子は4年生なんです。
私としては、娘が学童に通ってくれていると安心なんですが、大規模学童で高学年がいつまでも在籍していたら迷惑になるんじゃないか、必要性の高い低学年の子に席をゆずらないといけないんじゃないか、って・・・。
大規模学童は施設がせまいだけじゃなくて、保護者に肩身のせまい思いをさせてるんっすね?
ちょっと!黙って話聞いてよ。
・・・
けど、そんな風に思っているのもなんだかおかしいなって・・・。
高学年だって、堂々と利用していいですよね?
もちろんです。学童保育の対象は1年生から6年生までですから。
大規模学童支援員のリアルな心境
ふみかちゃんのお母さんが本音を言ってくれたから、私も正直にお話しますね。
大規模学童の苦労話は、まだまだ言い尽くせないことがあるんです。
大規模学童の職員がとらわれる、最も深刻な心理状態とは・・・
大規模化で大勢の子どもが詰め込まれて、毎日たくさんの問題が発生します。
私たち支援員は、少しでも安心して子ども達が過ごせるように、一生懸命かかわっています。
けど、そんな毎日が続いたら・・・
「今日は親が家にいるんじゃないの?なぜ学童に来ているの?」
「学童は必要ないでしょ?」
「休んでくれたら助かるのに」
って、思ってしまうことが正直あって、そんな風に思ってしまう自分が本当にいやなんです。
・・・
「子どもが自ら進んで放課後児童クラブに通い続けられるように援助する」ことが、私たちの仕事(育成支援)だと「放課後児童クラブ運営指針」に記載されています。
「休んでよ」と思ってしまうことは、運営指針と真逆です。
私だって、辞めていった職員だって、もともとは熱い思いを持ってこの仕事を始めたんです。
なのに・・・
じ、自分を責めてはいけないっす。悪いのは大規模化です。
あの・・・、子どもの数が増えたら先生も増えるんじゃないんですか?
ええ、でも正規職員の数は増えていないんです。
そうなんすか?
支援の必要な家庭ほど、遅れて申し込んでくる
保護者のいる前で言うのもなんなんですが、入所を断わっちやったらいいんじゃないんですか?
それも難しい事情があるのよ・・・。
私だっては、今の状況がキャパオーバーだということはわかっているんです。だけど・・・、
この3月も、新年度を控え、昨年を超える大人数の申し込みがあり、暗澹たる思いでいました。
しかし、そこに新たな登録希望が寄せられたんです。
その家庭は、深刻な福祉的課題を抱えていました。登録期間外に遅れて申請してくる家庭には、このようなケースが目立ちます。
運営者から、「期限を過ぎているけれどなんとかならないだろうか」と相談されました。
私たち支援員って、受け止めることは得意なんだけど、切り捨てることは本当に苦手なんだよ。
この時も、何とか受け入れられるよう努力しました。
自分で自分の首を絞めるようなことだとわかっていても、困っている家庭や子どもを見捨てることはできない・・・。
大規模学童職員のジレンマ
「大規模学童職員のジレンマ」の話、聞いたことがありますか?
ジレンマ?
さぁ?
あるところに、力量のある支援員が集い素晴らしいチームワークを発揮する学童がありました。
その学童は120人を超える児童が通っていましたが、大規模化の様々な問題を、職員集団の経験と技能、そしてあらゆる知恵と工夫で克服していったんです。
それで、大規模学童であるにもかかわらず、子どもたちは活き活きと通うことができていました。
保護者も学童の生活内容に満足していて、保護者アンケートには高い評価が寄せられました。一方で、同アンケートの「児童数に対して施設の広さはどうですか?」という問いにもほとんどの保護者が「満足」と答えました。
大規模学童であるにもかかわらず、問題が顕在化しなかったんだよ。
しかし、実際には施設的に過密な状況であり、支援員たちは毎日、高い緊張感をもって働いているため、心身ともに消耗していました。
そうして迎えた年度末に、運営者は職員集団を讃えてこう言いました。「やればできるじゃないか」「君たちは優秀だ」「まだまだいけるだろう」
そうして、翌年、更に多くの児童が登録することになりました。
その年も支援員たちは必死で、子どもたちが安心して過ごせる放課後の生活をつくりました。
しかし、その翌年さらに児童数が増えたんです。
優秀な支援員たちは、次第にわけがわからなくなってしまいました。
「自分たちが良い支援をしているから、ますます大規模化が進んでいる?」
「親は今の状況をどう考えているんだろう?」
「子どもにとってはどうなんだろう?」
「大きな事故でも起こらない限り、この状況は変わらないんだろうか?」
そうして、一人やめ二人やめ、優秀な職員集団は崩壊してしまったんです。
この話の教訓は、「歯止めが必要」だってことなんです。
さいごに
先生方のお話を聞いていて、やっぱりおかしいです。
支援員の先生方の努力に問題解決を委ねるのではなく、制度的な改善が必要ではないでしょうか。
そうでないと保護者も安心して利用できません。
どんな風に要望していったらいいんでしょうか?
学童保育の制度改善に関する要望は、各地の保護者会連絡協議会や全国連協が積極的な活動を行っていますよ。
私たち支援員だけでは難しいんです。利用者である保護者の方に動いていただけると心強いです。
はい、先生方と力を合わせて、子どもたちの放課後がよくなるようにしたいです。
(おわり)