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「学童保育指導員」というライフスタイルがあったっていいじゃないか
学童保育指導員と言えば、薄給である。
その生活は、質素倹約が前提となり、贅沢は許されない。何事もまずは自分でやる(DIY)、レジャーは入場無料の山や川(Outdoor)、使えるものは何でも使う(Used志向)など、そんな暮らしを長年続けてきた。
我が家の、そのような暮らしは、資金に恵まれない中で、工夫をして、豊かな放課後の生活を子ども達に保障するという、学童保育の営みそのものである。
子ども達は、何もないところから遊びを創り出す天才だ。
迷ったり悩んだりしながらも、自分でできることを一つずつ増やしていく。
学童保育で、子ども達とかかわる指導員の自分だからこそ(注)、自分で創る生活の素晴らしさや、身近にある自然の素晴らしさをたくさん感じていたい。
振り返ってみると、指導員である私の生活と、学童保育の子どもたちの生活は、お互いに影響し合い、高め合って、ここまでやってきた。
そして、学童保育の仕事を続け20年以上が経った今、こう思う。
これはもう、一つのライフスタイルと言っていいんじゃないか。
「学童保育指導員」、そんなライフスタイルがあったっていい。
学童保育指導員と「陶芸」
陶芸との出会いは、以前の職場、保護者運営の学童保育所の卒所旅行で、子ども達と陶芸体験をしたこと。
当時の相棒指導員の趣味が陶芸で、旅行までの間に、「手びねり」の技法などを、子ども達に丁寧に指導し、当日を迎えた。
本格的に陶芸をするようになったのは、結婚して3人目の子どもを授かった後。
妻もまた陶芸が好きで、子ども達と一緒に、自宅から車で1時間ほどのところにある、陶芸道場に通うようになった。
土の感触、ろくろや手びねりの面白さ、そして出来上がった作品を引き取りに行く喜び。
「自分で作りたいものを作ったらいい」と、程よい距離感でかかわってくれる先生の人柄もよかった。
そんな月日を過ごすうちに、気が付けば、日常生活に必要な身の回りの陶器は、ほぼ手作りのものとなっていた。
一つひとつの陶器にドラマがあり思い出がある
手作りのよさは、一つひとつの器にドラマがあり、その時々の家族の暮らしや子ども達の成長などを思い出させてくれること。
この器は長女が初めて作ったもの、このカップは長男の作品、あの時は陶芸の先生に対してぶっきらぼうに話していいたなぁ、この作品は妻が次男の離乳食のために作ったもの・・・等々を思い出し、今あるささやかな幸せに、感謝することができる。
陶器なので、もちろん割れてしまうこともある。しかし、家族の思い出だけに捨てられない。割れた「かけら」は、何かのDIYで使うために大切にとってある。
手作りの陶器が食卓を彩る
我が家の食卓に並ぶのは、豚肉や鶏肉・豆腐、近所の農協で売られる、安くて新鮮な野菜等がメインで、牛肉などの高級品は、実家からお裾分けがある時のみ。魚料理は、週1回と決まっている。
私にとっては、家庭の味、家族の作品に彩られたささやかな食卓こそ、豊かな食卓。
手作りの器に盛りつけられた妻の手料理は、食欲をそそり、実際にどれも最高にうまい。
手作りの生活は文化を育む
いつか子ども達が、我が家を離れる時には、一緒に育った器を持たせてやりたいと思う。
元教員の母が、時々褒めてくれる。
「あなたの家には文化があるわ」
手作りの生活は、家族の文化を育む。そして、それは親から子へと受け継がれていく。
学童保育の生活もまたしかり。
そこで営まれる手作りの遊びや生活には、1人ひとりの思いや工夫、そして子ども達のドラマがあり、それらは、その学童保育所固有の文化として醸成されていく。
資金はある方が良い。これからも学童保育がより良い制度となることや、指導員の処遇改善を国や自治体には求めたい。
一方で、資金が少なくとも、生活を豊かにするための知恵や工夫、技術を持ちたいと思う。
そういったものは、お金のあるなしにかかわらず、人生を豊かにしてくれると思うから。
注:現在、私は施設長の立場にあるが、施設長は役職名であり、職業としては学童保育指導員・放課後児童支援員と考えているため、本稿では自らを指導員と名乗っている。
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