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指導員のライフスタイル

【GSL vol.4】学童保育指導員と川遊び

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所長仲間と。夏休み前の川遊び研修という名のもとの、ただの大人の川遊び(2021)

夏の日の午後に、川に潜ると、キリリとした水の冷たさが心に染みる。しばらく泳いで川からあがると、さっぱりとした気分になる。

夕暮れになると、風が出てきて気持ちが良い。

窓を閉め切った部屋で、冷房をかけていると、自然の、穏やかな風のありがたさが、感じられない。

それに、冷房には電気代がかかる。

暑い日に、子どもと同じような、半そでと短パンという姿で過ごせる、学童保育の仕事をしていて良かったと思う。

学童保育指導員とアウトドア

夜中に焚火を囲む、怪しい指導員たち(2005年)

私が大学を出て、初めて就職した学童保育所は、夏はキャンプに川遊び、学童の前を流れる川では、子どもたちがダムを創ったり釣りをしているという、自然に親しい生活を営んでいた。

元来、子どもと自然は、相性がいいものである。

世界を大きく分けると、「人間が作ったもの」と「人間が作っていないもの」に分かれる。つまり「人工」と「自然」であって、子どもは「自然」に属するものである。

こう言ったのは、解剖学者の養老孟子。(引用元:「新しい世界へ/養老流子育て論」)

学童保育の狭い施設内では、落ち着かないような子どもが、自然の中では夢中で遊ぶし、自然も子どもたちを、快く受け止めてくれる。

自然はとにかく懐が深いのである。

当然、そんな自然の中での活動を、学童保育の生活に取り入れないわけにはいかないと思うのであって、考えを同じくする指導員が集まり、指導員会アウトドア部会的な集まりが生まれることになった。

指導員が、キャンプや川遊びをすることは、自然への理解を深め、野外活動の指導技術を磨くことに他ならず、プライベートで遊べば遊ぶだけ、学童保育の活動も多彩で安全性の高いものになっていくという、正に公私混同・趣味と実益を兼ねる活動であった。

我々は、それぞれの職場の仕事や懇談会等が終わった夜中に、川へ集合し、夜に泳ぎ・潜り、魚を捕り・食べ、川原で一夜を明かし、次の日は、焚火の匂いにまみれたままキャンプ地から出勤するという、アウトドア指導員ライフを謳歌した。

そんな年月があったからこそ、令和になった今でも、学童の子ども達を川や海へ連れて行くことができているのである。

カヤックとの出会い

指導員仲間とカヤックの遠征(2010)

別の学童保育所に就職した、同期の指導員が、アウトドアの達人で、カヤックを何艇か所有していた。

その友人指導員に誘われて、カヤックに乗せてもらったのが始まりだった。

友人の勧めもあり、どうせ買うなら、たっぷりの積載量があり、カヤックツーリングも行える2人乗り艇を購入したいと考えるようになった。

当時結婚を控えていた私は、彼女に婚約指輪を渡した時に、こう切り出した。「きみに指輪をあげる。だから僕はカヤックが欲しい。」

今思えばひどい話である。

カヤックは、指輪と同じくらい高価だったが、一度手に入れると、川で乗る分には無料である。16年経った今も使用できている。十分もとはとれているのである。

カヤックを始めて良かったことは、地域の学童保育を牽引するベテラン指導員たちと、カヤックを共にする機会に恵まれたこと。

私が尊敬する指導員たちは、頼もしく、川の上では少年のようだった。

あるベテラン指導員が、話してくれた。

「川岸から川を眺めるのと、カヤックに乗って川の上から眺めるのとでは見え方が全く違う。学童保育で子どもとかかわる時も同じ。色々な角度から子どもを見るんだ。」

川と恵み

カヤックの上で昼寝する息子たち(2017)

指導員仲間と行く川、家族で行く川、学童の子ども達と行く川。

いつだって、24時間営業で入場無料の川は、私の指導員LIFEに多くの恵みを与えてくれている。

川が好きだ。川で遊ぶ子どもの笑顔、親の笑顔を見ることが大好きだ。

子どもたちに、川の自然の豊かさや水質を守ることの大切さを教えようと思ったら、まず、川の楽しさを感じてもらうことしかない。

野外ロックイベントに参加した若者たちが、会場から駅までのごみ拾いを、自主的に行っている姿が注目を浴びた。感動があるから、それを維持するための行動が生まれるのである。

遊びと生活の場である学童保育の可能性は無限だ。

それだけに、指導員は、幅広い感動を知っていたいし、これからも、身近にある、自然の楽しさを子ども達に伝えていきたいと思う。


※川遊びをする時には、必ずライフジャケットを着用すること

※川原でキャンプをする時はマナーを守ること

※初めてカヤックをする時は、必ず経験者と同行すること

※子ども達を川へ連れて行く時には、下見を行い、下見の際には、必ず川の中に入って実際に泳いでみること

※施設で川遊びを行う時には、綿密な計画と職員の連携、保護者の協力が必要である

追記:私の地域にある、アウトドア系指導員の中では、私は最も下っ端である。


書籍紹介

「虫捕る子だけが生き残る~脳社会の子ども達に未来はあるのか~」養老孟子・池田清彦・奥本大三郎著/小学館101新書

「川の学校(吉野川 川ガキ養成講座)」野田知祐著/三五館

どちらの書も、子どもと自然とのかかわりを教えてくれる。日本を代表するカヌーイスト野田知祐著、椎名誠やモンベル代表の辰野勇等が参加している「川の学校」は特におすすめ。川遊びの素晴らしさを伝えるとともに、子どもと大人のかかわりや社会の在り方を痛烈に批判している。


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