指導員と音楽
私が子どもの頃、通っていた学童保育所の指導員は、皆ギターを演奏した。
初めて就職した学童の指導員も、ギターを弾いた。もう一人の指導員はバイオリンを弾いた。
保護者もギターを弾いた。
夏の夜の学童祭りでは、保護者と指導員のバンドの発表が恒例だった。
演目は「神田川」。毎回演奏するので、最前列の子ども達は、口ずさんでいた。
私も、ギターを弾いた。
高校の音楽室で、友達に教えてもらったのが始まりだった。Extreme の「More Than Words」を夢中で練習した。
転職した新しい学童保育所でも、もちろんギターを弾いた。
日々の生活の終わりに、祭り・キャンプ・修了式や入所式で・・・。
音楽の授業みたいな行儀の良い歌い方でなくていい。学童の歌は、それぞれが好きなように、歌いたい気持ちを体いっぱいで表現する。
放課後のグルーヴ!(groove:Wikipediaより)これはもう、本当に素晴らしい。
学童保育とギター
ギターは、伴奏と旋律の両方を奏でることができる数少ない楽器のひとつだ。
それでいて、ピアノのように場所を選ばない。比較的安価で、手軽に始めることができる。自学で修得ができる。そんな理由から、学童保育の現場に身近な楽器となったのだろう。
ギターと言えば、フォークソング、そして、ロックだ。それらの持つ、大衆性や自由への精神が、放課後の遊びを中心とする学童保育の生活とリンクしたのだろうか。
「ロックの核心は反体制・反権力だ」と、カート・コバーン(ニルヴァーナ)は言った。ギターは、学童保育運動の中にある指導員たちの反骨心を象徴していたのだろう、などと想像を膨らませる。
私にとってのギターの魅力は、子どもと対面して歌えること。
子ども達の歌う表情を見ることができる。子ども達の歌声を全身に浴びることができる。時々、歌声の波動を感じて後ろによろめいたりしてみる。歌いながら目と目で会話する。そんな時に、学童保育指導員の仕事の素晴らしさを心から感じることができた。
学童で歌う歌は、子ども達が歌いたい曲を選ぶ。アニメソングでも歌謡曲でも、何でもよい。
指導員が、子どもと歌いたい曲も選ぶ。昭和歌謡や懐メロなど、学童で覚えて帰った曲を聴いて、親が「なんでそんな曲知ってるの?」と、ちょっとびっくりする姿を想像する。
青春のフジロック
初めてライブに言ったのは、高校生の時。大阪城ホールのBon Jovi、5列目で観ていたら、リッチーの投げたピックが、隣で、上半身裸で踊っていた友人の胸に貼りついた。そのピックをハサミで半分に切って、友人と二人で宝物にした。
私が青春の真っただ中にある時、フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)がスタートした。初めて参加したのは、1998年、2回目の東京開催。忌野清志郎・ミッシェルガンエレファント・BLANKEY JET CITY・SONICK YOUTH・PRIMAL SCREAM・JUNKEY XL・ASIAN DUB FOUNDATION・BECK、そんなラインナップだった。
翌年以降は、毎年参加した。青春18切符で、はるばる新潟まで行く道のりも楽しかった。99年は、UNDER WORLD・BLUR・THE CHEMICAL BLOTHERS、懐かしき夏の夜の苗場スキー場。
そして、フジロックを皮切りに、日本中で行われるようになった、サマーソニック(大阪)、ライジングサン・ロックフェスティバル(北海道)、といった野外ロックフェスに、参加するようになった。
この頃には、学童保育の仕事をしていたので、夏休みのキャンプは、必ずフジロックの日程を外すように設定したのを思い出す。当時はロックが1番、仕事は2番だったのだ。
最後に行ったフジロックは、妻と一緒に。お腹の中には第1子がいた。子育てがもう一段落したら、いつか家族で行ってみたいと夢見ている。
人生の、ベスト・アクトは、妻と行った2010年、BASEMENT JAXX(大阪NAMBA HATCH)。これは、最高にHAPPYなライブだった。
第2位は、SUPERCARの解散ライブだ。
子育てと音楽
音楽には、生活の一場面をドラマチックにする効果がある。
懇談会のムービー作成では、BGMの選曲も楽しみの一つ。(【GSL vol.7】学童保育指導員とカメラ)音楽が子どもの活動をドラマ仕立てにしてくれる。
日頃から、学童保育と合う曲をストックしておく。動画と音楽のリズムがマッチした時の爽快感はたまらない。
我が家の子ども達が幼い頃、毎朝が戦場のようだった。寝ぼけているのを起こして、朝食を食べさせて、保育園の準備をして・・・。
ある日、そんな朝の時間に、クラッシック音楽をかけてみた。すると、家族のドタバタが、歌劇の1シーンのように感じられた。思わず愉快な気持ちになった。
最近は、長男が時折メールで寄こす、おすすめの楽曲を聴くのが楽しい。こんな曲たちだ。
優里 『ピーターパン』
Hump Back「拝啓、少年よ」
Mrs. GREEN APPLE 「僕のこと」
こういう曲が良いと思えるようになったのかと、長男の成長を感じ、そして、若者の曲を良いと思える自分も、なかなか良いな、などと思っている。
最後に、私の大好きな歌詞を添えたい。
「空っぽに見えるけれど 綺麗に澄んだ水がある」(↑THE HIGH LOWS↓ - 月光陽光)
いつまでも色褪せない、青春の音楽たちと共に、私の指導員LIFEがある。