指導員の採用面接を行う時には、「スーツじゃなくていいです、普段着で結構ですので」と伝える。
学童の日々の保育は、私服であたるのが一般的である。スーツで働く仕事なら、スーツで面接に来てもらえばよいが、私服で働くのだから、その人の普段着を、見たいと思う。
服装には、その人の生活や趣味や大切にしているものが現れるし、そういったものを見たいのである。
そんなことを言っていたら、Tシャツと短パンで面接に現れた人がいた。
アルバイト希望の女子大学生だった。手ぶらなので、てっきり誰か(子ども)のお姉さんがお迎えに来たものだと思って対応したら、「面接に来ました」というのである。
「履歴書は持ってきましたか?」と尋ねると、「はい」と言って、短パンのポケットから、4つ折りにした履歴書を取り出して、一応、しわをのばしてから、「どうぞ」と渡してくれた。
姿勢が良く、健康的だ。目を見て話すことができる。そして、登場してからここまでの振る舞いが、お茶の間的に呑気である。
この人なら、学童保育の生活の中で、子ども達とうまくやっていけそうだ、と思った。その後の話も良かったので、採用することにした。
話がそれてしまったが、今回は、学童保育指導員LIFEの「衣」について、私が考えるところを話してみたいと思う。
学童保育指導員と服装
学童保育に適した服装とは?と聞かれたら、私は、活動的であること、清潔であること、機能的であることなどをあげたい。
指導員は、子どもたちと一緒に様々な遊びや活動をするため、動きやすい服装を、まず第一に心がけなくてはいけない。
清潔感は言うまでもない。
「機能的」とは、例えば、ポケットがついていて、メモ帳などを入れることができたり、そのポケットにファスナーがついていることなど。
また、夏場であれば、速乾性や通気性などの快適性、冬場であれば、防風性や保温性などを備えるものも機能的な衣類と言える。
このような衣類を身に付けていると、指導員は、暑い夏や寒い冬に、子どもと一緒くたになり、安心してパフォーマンスを発揮できる。
耐久性も重要である。
衣類の耐久性とは、擦れたり引っ張られたり転がったりしても、そうそうに破れない・傷まない・伸びないということだけでなく、少なくとも3年以上、長ければ10年以上の使用に耐えうるということ。
汗や汚れを気にしたり、服の傷みに気を取られているようでは、適切な支援などできない。
という訳で、上記のような性能を兼ね備えた、学童保育に適した衣類のカテゴリーは、スポーツウェアやアウトドアウェア等となる。
指導員に適した服装の条件として、安価である、ということもあげたいところであるが、私の経験では、安すぎる衣類は、襟首がすぐによれてしまったりして、結局は買い替えのスパンが短くなる。
980円のTシャツを毎年購入するのと、3000円のTシャツを3年着るのとでは、3000円の方が品質が良いのであって気持ちもよい。
学童保育指導員と中古衣料品店
これは、人それぞれではあろうが、私の中で、スポーツウェアは、主にグラウンド等で着るものであり、街中でジャージでいるのは、周囲の人に、少々違和感を感じさせるものであると思っている。
アウトドアウェアなら、保育中も街中でも、キャンプなどの野外活動行事でも使用することができる。TPOで着こなしを変えるだけの衣類を持ち合わせる余裕のない私にとっては、大変ありがたい。
問題は、アウトドアファッションは、ファストファッションと比較して、大変高額だということである。
衣料に回せる生活費は乏しいが、アウトドアウェアが必要だ、そんな学童保育指導員の願いを叶える場所が、中古衣料品店である。
昨今の中古衣料品店は、私が中高生の頃に通った、古着の独特な匂いが充満し、主にしわしわの衣類が並んでいるものと違い、高級ファッションブランド等を取り揃えている。もちろん私は、そんなものに目もくれず、一直線にアウトドア衣料コーナーに行く。
お洒落なだけで、機能性も耐久性もない衣類には興味もなければ買う余裕もないのである。
中古衣料は環境への負荷が少ない
誤解のないように言っておくが、学童保育指導員は、お洒落をしていはいけないと思っているわけではない。
お洒落とは、生活の中で工夫し、自分らしさを追求することや、その人らしさを認めることであって、万人の権利である。
一方で、流行というものは、アパレルメーカーが売りたい服を買わせるための戦略であり、そんなものに振り回されたくはない。
去年流行した服は時代遅れだから、もう着れないなどと、そんな無駄なこともできない。
最後に、古着を購入することは、限られた予算の中でお洒落を楽しむだけでなく、環境への負荷を減らす活動であることを付け加えておきたい。
パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードは、ビジネスの最も重要な使命を「地球環境を守ること」として、他社に先駆けてオーガニックコットンやペットボトルからの再生繊維を使ったフリースを販売した。
製造過程において環境に配慮され、かつ丈夫なアウトドア衣類を中古で購入することは、環境保護につながるアクションとして注目されている。(参考:「国内を循環する古着を着る、そしてライフシフトへ」パタゴニアサイトより)
衣料の製造自体が、環境に負荷を与える営みであり、バーゲンだからといって着ない服を無駄に購入したり、流行りすたりで、まだまだ着ることができる服を廃棄することは地球にとって害悪である。
これからも学童保育の仕事を続ける以上、中古衣料品店のお世話になるだろう。
家計に優しく、環境に優しい古着に、私の指導員LIFEは支えられている。
書籍紹介
「良い波が来たら、勤務時間中でもサーフィンに行って良い。」というパタゴニア創業者の経営論は、「責任感」「効率性」「融通をきかせる力」を社内に育てた。持続可能な製品開発を追求し、環境保護活動を支援し続けた、イヴォン・シュイナードの人生からは多くのことを学ばされる。
「社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論」/東洋経済新報社
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