
放課後児童クラブにおける苦情処理規定は、保護者やこどもからの意見や苦情に適切に対応し、クラブの運営の質を向上させるために不可欠です。
今回の記事では、その必要性、法的根拠、作成方法、現場での運用についてまとめました。

放課後児童クラブ以外の児童福祉施設等でも使用できるシンプルなひな形も掲載していますので、ご参考にしてください。
「苦情処理規定」の必要性と法的根拠
放課後児童クラブは、こどもたちの放課後および学校休業日の生活を保障しこどもの成長や保護者の子育てを支援する施設です。保護者や子どもからの要望や苦情には、迅速かつ適切に対応することが求められます。これらの対応は、放課後児童クラブの社会的責任として重視されており、保護者との信頼関係の構築や事業内容の質の向上に直結します。
法的には、厚生労働省の「放課後児童クラブ運営指針」において、「要望および苦情への対応」が明記されています。具体的には、要望や苦情を受け付ける窓口の設置、対応手順や体制の整備、迅速な対応が求められています。
「苦情処理規定」の内容
「苦情処理規定」を作成する際は、以下のポイントおさえましょう。
- 窓口の設置と周知:容易にアクセスできる「苦情受付窓口」を設置し、こどもや保護者に周知します。
- 担当者の明確化:「苦情解決責任者」、「苦情受付担当者」、「第三者委員」などの役割を明確にし、対応体制を整備します。
- 対応手順の策定:苦情の受付から解決までの具体的な手順を定め、迅速かつ適切な対応を可能にします。
- 記録と共有:苦情の内容や対応結果を記録し、職員間で共有することで、再発防止やサービス向上に役立てます。
現場での運用
実際の運用においては、以下の点に留意しましょう。
- 定期的な見直し:苦情対応の仕組みや手順が適切に機能しているかを定期的に評価し、必要に応じて改善します。
- 職員研修の実施:職員が苦情対応の重要性や具体的な対応方法を理解するための研修を実施します。
- 外部機関との連携:解決が難しい苦情については、市町村や社会福祉協議会の運営適正化委員会などと連携し、適切な解決を図ります。
苦情処理規定のひな形
具体的な規定の作成にあたっては、以下の資料を参考にしてください。

以下の文章をコピペでWord等に張り付けてください。
黄色でマーカーをしている部分は、各施設の状況ご記入ください。
意見・要望・苦情・不満を解決するための仕組み
─ 利用者と施設の豊かなコミュニケーションを目指して ─
(運営者名)〇〇〇〇
(代表者名 )〇〇〇〇
日頃より、当施設の活動にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
(施設名)では、利用者の皆様と施設のより良いコミュニケーションを図るため、「苦情解決規程」を設けています。
皆様のご意見や要望に適切に対応し、より良い施設運営を目指してまいります。小さなことでもお気づきの点がございましたら、遠慮なく施設へお申し出ください。
苦情解決規定
(目的)
1.利用者の要望等に適切に対応し、利用者の理解を深めることを目的とします。
2.利用者の権利を擁護し、適切なサービスの提供を支援することを目的とします。
3.利用者が納得できる方法で、円滑かつ円満な解決を図ることを目的とします。
(解決の体制について)
(施設名)では、(施設長名など)を苦情解決責任者とし、受付担当職員を定めています。施設に関する要望等は、受付担当職員へお申し出ください。
<1>解決責任者:(施設長名など)
<2>受付担当者:(職員名など)
(第三者委員について)
直接職員に伝えにくいことや、解決が難しい場合のため、以下の第三者委員を設置しています。第三者委員へ直接申し出ることも、施設との話し合いの際に立会いや助言を依頼することも可能です。
・第三者委員 〇〇〇〇(氏名)
電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
・第三者委員 〇〇〇〇(氏名)
電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
(申出方法について)
・受付担当者(職員名など)に申し出てください。
・解決責任者である(施設長名など)へ直接申し出ることも可能です。
・第三者委員へ直接申し出ることも可能です。
(解決の記録と報告)
受け付けた要望等は、所定の様式にまとめ、受付担当者から解決責任者および関係職員へ回覧し、円滑・円満な解決に努めます。
原則として第三者委員に報告しますが、申出人が報告を拒否した場合は、その旨を伝えた上で報告を控えます。
匿名の手紙や電話等による要望等はすべて第三者委員へ報告します。
(解決の通知)
受け付けた要望等について、解決責任者または申出人が希望する場合、第三者委員より調査結果を所定の書式で通知します。
(解決の公表)
個人情報に関するものや申出人が拒否した場合を除き、要望等の解決について定期的に公表し、施設の運営改善に活用します。
この解決の仕組みは、令和7年4月1日より実施します。

苦情解決規定を作成した後は、毎年見直しを重ねて、よりよい内容に修正を加えてください。